COLUMN

2026.07.21

夏休み前半から勝負は始まる!
休み明けの不登校を防ぐ「体内時計」の整え方

夏休みが中盤から終盤に差し掛かると、徐々に気になってくるのが「新学期、ちゃんと朝起きられるだろうか」という不安です。実は、夏休み明けの不登校や体調不良の背景には、生体リズム(体内時計)の乱れが深く関係していることが分かっています。
今回は、不登校の背景にある睡眠の問題と、新学期前に慌てないための具体的な対策をお伝えします。

「不登校」の背景に潜む生体リズムの乱れ

不登校の原因は一つではありません。人間関係、学業不安、発達特性、精神的ストレスなど、多くの要因が関係します。その大きな背景として「睡眠の問題」が横たわっているケースは少なくありません。

1997年に発表された日本の研究では、不登校傾向を示す子どもたちに体温リズムや睡眠覚醒リズムの大きな乱れが認められました。研究者らは、生体リズムの同期不全(ズレ)が学校生活への適応に関与している可能性を指摘しています。

もちろん「睡眠が原因で不登校になる」と単純化することはできません。しかし、以下のような悪循環は現実に多くの家庭で起こり得ます。

【朝起きられない】
 ↓
【遅刻が増え、朝の授業に出られない】
 ↓
【教室に入りづらくなり、精神的ストレスが増す】
 ↓
【欠席が増え、本格的な不登校へつながる】

だからこそ、夏休み中の睡眠管理は単なる生活指導の枠を超えて、「子どもの学校生活と心の健康を支える土台づくり」そのものなのです。

新学期前に慌てないための「3つの心構え」

①「寝る時間」より「起きる時間」を守る
夏休み中、完全に学校と同じ生活を強いるのは現実的ではありませんし、子どもにとってもストレスになります。しかし、許容できる朝寝坊の限界は「普段の起床時間プラス1時間まで」です。
例えば、普段が6時半起床なら、休み中も7時半には一度起きる。これなら新学期前の軌道修正が数日で可能です。

②朝の光を習慣にする
朝の光は、後ろにズレた体内時計を前に巻き戻す(前進させる)最強の刺激です。起床後はすぐにカーテンを開け、ベランダに出るなどして光を浴びましょう。米国睡眠医学会(AASM)の臨床実践ガイドラインでも、光を用いたアプローチは思春期の概日リズム睡眠障害に対する有効な介入として推奨されています。

③夏休み最終日だけで調整しようとしない
数週間かけて後退した体内時計は、一晩では戻りません。理想は夏休み終了の1〜2週間前から毎日10〜15分ずつ段階的に起床時刻を早めていくことです。「新学期の3日前から頑張ろう」では間に合わない場合が多いのです。

おわりに

思春期の子どもは、大人が思う以上に体内時計が後ろへずれやすい時期です。だからこそ、夏休み中に大切なのは「新学期に戻れるリズムを守ってあげること」。

夏休みが本格化する前、あるいは中盤のこの時期に、ぜひこの話を道標として、親子で夏の過ごし方について話し合ってみてください。

「夏休み中も、朝の光を浴びることと、朝食だけは一緒にとろうね」

その温かい一言と小さな習慣が、休み明けを笑顔で迎えるための最も確実な準備になるでしょう。

三橋美穂さん

三橋美穂(快眠セラピスト・睡眠環境プランナー)

寝具メーカーの研究開発部長を経て独立。これまでに1万人以上の眠りの悩みを解決してきており、とくに枕は頭を触っただけで、どんな枕が合うかわかるほど精通。全国での講演や執筆活動のほか、寝具や快眠グッズのプロデュース、ホテルの客室コーディネートなども手がける。著書に『オトナ女子の不調と疲れに効く 眠りにいいこと100』(かんき出版)ほか多数。https://sleepeace.com/