朝の5分で実践できる簡単ストレッチとは
ゆうべはしっかり寝たはずなのに、「眠気が取れなくてシャキっと起きられない…」、「何だか身体がだるくて重い…」。朝起きたとき、そう感じることはありませんか?眠気やだるさを取ってスッキリと目覚めるには、その場で軽く寝起きのストレッチをするのがおすすめです。
このページでは、ストレッチの基本を振り返りながら、朝起きてからすぐに実践できる手軽なストレッチを詳しく紹介しています。
立って行うストレッチはもちろん、座ったまま、寝たままできるストレッチについてもまとめたので、ぜひご自身にとって無理のない方法を見つけてみてください。
そもそもストレッチとは
ストレッチとは、筋肉を伸ばして身体の柔軟性を高める体操のことで、ストレッチングとも呼ばれます。整理運動として行うと身体の疲労回復の手助けをしてくれたり、準備運動として行えばケガの防止につながったりします。様々なメリットを得られることから、リハビリや治療の目的で行われるもあります。
ストレッチには、大きく分けて「静的ストレッチ」と「動的ストレッチ」の2種類があります。一定の方向に筋肉を伸ばしたまましばらく静止するのが静的ストレッチで、身体の動きを止めずに繰り返し関節や筋肉を伸ばすのが動的ストレッチです。
朝にストレッチを行うとこんな効果が
いつでも思い立ったときにできるストレッチですが、特に朝に身体を動かすと、体内時計を整えたり筋肉や関節がよりほぐれたりと、様々な効果を得られます。それぞれのメリットと理由を説明します。
体内時計を整えられる
起き抜けのストレッチによって血流が良くなると体温や血圧が上がって内臓機能が活発になるため、身体を活動モードへ切り替えられます。身体がしっかりと目覚めるので、自律神経のバランスが整い、「日中は活動して夜間は就寝する」という体内時計を整えるのに効果的です。体内時計が整うと、睡眠の質の向上も期待できます。
筋肉や関節をほぐす
寝ている間に寝返りの回数が少ないと筋肉や関節が凝り固まって、その影響で血流が悪くなることがあります。寝相が良いタイプの方は、当てはまるかもしれません。
ストレッチは寝ている間に縮こまった筋肉や関節をほぐして血流を改善し、身体の動きをスムーズにするのを助けてくれます。ゆっくりと肩や背中、首などの筋肉をほぐせば全身があたたまり、スッキリとした目覚めになるでしょう。筋肉や関節の可動域が広がることで、朝から活発に活動しやすくなるといった効果も得られます。
筋肉の緊張や酸素不足による頭痛の対策になる
寝相が悪い、寝返りの回数が少ないなど、寝ている間の身体はどこかに負担がかかりがちです。首や肩に負担がかかると肩こりを起こしやすくなりますし、頭痛を引き起こす原因にもなってしまいます。
また、寝相のせいで呼吸が浅くなってしまい、肺から脳への酸素を上手く取り込めず、頭痛を起こしてしまうこともあります。起きてすぐに首や肩をほぐすことで肩こりからくる頭痛を予防できる他、深呼吸しながらストレッチを行うことで、酸素不足からくる頭痛の対策にもなります。
ストレッチの効果を引き出すコツ
ストレッチは、運動に比べて強度が低くゆっくりとした動きですが、無理にいきなり身体を動かしてしまうのは禁物。身体に無理な負担がかからないよう、弾みや反動をつけず、呼吸も止めずに行うことが大切です。また、無理に筋肉を伸ばしたり、長時間ストレッチを行ったりすると、筋肉の伸ばしすぎによりかえって逆効果になってしまうことがあります。
ここでは、ストレッチの効果を高めるために覚えておきたいポイントを以下でご紹介いたします。
ゆっくり伸ばす
ストレッチを行うときは、ゆっくり筋肉や関節を伸ばしましょう。起床直後はまだ筋肉や関節がこわばっている状態です。短い時間で最初の5~10秒は適度な可動域を把握するための時間とし、その後ひとつひとつの動きをゆっくり時間をかけて行ってください。
呼吸を止めないようにする
ストレッチをしながら呼吸を止めると血圧が上がりやすくなり、かえって身体が緊張してしまいます。緊張状態のまま筋肉や関節をほぐそうにも、筋肉がしっかりと緩まないため思うような効果も得られません。ストレッチをしている間は、無理のないペースで深呼吸を続けましょう。鼻と口を使って、細く長い呼吸を意識的に行うと、深呼吸がしやすくなります。
反動をつけて伸ばさない
ストレッチの目的は、筋肉や関節を少しずつ伸ばして柔軟性を高めること。勢いや反動をつけず、じっくりと筋肉や関節を伸ばすことが大切です。筋肉を急激に伸ばしてしまうと柔軟性が低くなり、ケガの原因になってしまいます。
少しずつゆっくり伸ばしていると、勢いや反動をつけなくても身体が自然と柔らかくなっていくのを感じられるようになります。
無理に伸ばそうとしない
ストレッチの体勢によって痛みをともなうことがありますが、痛いと感じているのに無理に筋肉を伸ばすのは禁物です。また、痛みを感じるまでストレッチを行うのも逆効果。筋肉や関節、筋を痛めてしまうおそれがあります。
ストレッチは、自分自身が心地良いと思える範囲で無理なく行うようにしましょう。
ストレッチ前に太陽光を浴びる
朝、目覚めたら、ストレッチをする前に部屋のカーテンを開けて朝日を浴びるようにしましょう。起き抜けに太陽光(日光)を浴びることで体内時計が覚醒モードに切り替わり、血流や代謝が上がって、ストレッチ後も活動的に動けるようになります。また、起きたときに強い光を浴びると体内時計がリセットされるため、生活リズムが乱れがちな方も起き抜けには朝日を浴びてみましょう。
簡単にできる朝のストレッチ:立ったまま編
朝の習慣にしたい、立ったままできるおすすめストレッチをご紹介します。ベッドや布団から出たあとに行ってみましょう。ストレッチで伸ばせる部位の他、やり方や手順を詳しく解説していますので、まずはぜひ実践してみてください。
全身の背伸びストレッチ
両腕を上げて、全身で伸びをするストレッチです。
立ち上がり、まずは両足を肩幅程度に広げて立ちます。そのまま両手を組んで天井に向けて腕を伸ばします。腕だけでなく、体幹全体が伸びるのを感じながら行ってください。
次に腰を曲げて、地面に手を伸ばします。後頭部からかかとまで、身体の「裏側」の筋肉すべてを伸ばす意識でゆっくりと床に近づきましょう。最後に両手を床について歩くように進み、腕立て伏せのような状態になったら1セット完了です。
血流を促すストレッチ
両手両足の指を、じゃんけんのグーとパーのように「握って開く」を繰り返す運動です。立ったまま行うことで血流が良くなる他、手足の末端の血行も良くなります。これを5回行ったあと、両手首を左右5回ずつ、両足首も左右5回ずつグルグル回して、起きた直後の手足の冷えを解消します。
肩こりに効果的なストレッチ
起床時に背中や肩が凝っていたり、疲れが取れなかったりする方は、肩甲骨がこわばっている可能性があります。
肩甲骨を寄せて胸を大きく開き、縮こまった筋肉をしっかりと伸ばしましょう。胸を開きながら鼻から息を吸って、腕を寄せて15秒間キープ。そのあと、息を吐きながらゆっくりと腕を戻します。
太腿や股関節に効くストレッチ
足を前後に開いて、股関節のこわばりをほぐすストレッチです。太ももや股関節周りの柔軟性を高めながら、足のむくみやだるさにもアプローチできます。
まず、足を揃えて立ち、右手をお尻の右側に当てて右足を後ろに引きます。股関節周りを意識しながら、右足の付け根を伸ばすようにお尻を前に押し出します。このとき、腰が左右どちらかに向かず、正面を向くように気をつけましょう。15~30秒キープしたら右足を戻し、左足も同じように行います。
寝起きの首周りに効くストレッチ
首周りの筋を伸ばす運動です。首や肩が凝っているときや目が疲れているときにお試しください。まず、足を肩幅程度に開いてまっすぐ立ちます。右腕を斜め下に伸ばし、首は左に傾けて、右側の首の筋肉が伸びるのを感じましょう。15~30秒キープしたら腕と首をまっすぐに戻します。左側の首も同じように行ったら1セット完了です。左右どちらか硬いと感じたほうを重点的に伸ばすと、バランスが整いやすくなります。
簡単にできる朝のストレッチ:寝たまま編
目覚めたあと、起き上がらなくても気軽にできるストレッチがこちらです。寝たままできるストレッチは、主に足腰や股関節をメインに動かします。筋肉をゆっくりとほぐして柔軟性を高めながら、スッキリと起き上がれるようにしましょう。
股関節のストレッチ
寝転がったまま、両膝を立てて行う股関節のストレッチです。股関節の筋肉をほぐすことで、血の巡りが良くなります
仰向けになり両膝を立て、両方の足の裏を合わせます。そして、膝を左右に広げながら倒します。そのまま10~20秒キープしたあと、膝を元の位置に戻します。身体が硬くて開脚が難しい方は無理をせず、気持ち良いと感じる程度に広げればOKです。股関節や腰に痛みのある方も、無理に行わないようにしましょう。
腰のひねりストレッチ
腰をひねって体幹をほぐし、寝ている間に固まった部分をじっくりと伸ばすストレッチです。腰回りの筋肉が心地良く伸びるのを感じられます。
まず、仰向けになり、脚を伸ばした状態で手のひらは床に向けておきます。次に、右脚を上げて、膝下と床が平行になるようにゆっくりと腰の左側に脚を倒していきます。このとき、顔は右側に向けます。できるだけ右肩が床やマット(ベッド)から浮かないように意識しましょう。呼吸を続けて、心地良く腰回りが伸びるのを感じてください。同様に左側も行いましょう。
余裕があれば、腕と肩が平行になるようにまっすぐに伸ばしながら行うと、鎖骨や腕回りの筋肉にもアプローチできます。
足のむくみに効くストレッチ
仰向けに寝たまま、足首を動かすストレッチです。ふくらはぎの筋肉を動かすことで下半身の血行を促進し、むくみや足のだるさに効果が期待できます。仰向けに寝たまま、つま先を上下にゆっくりと動かします。その後、大きく円を描くように両方の足首を右回り、左回りと動かして1セット完了です。足がだるくてなかなか寝付けない…という方は、寝る前に行うのもおすすめです。
簡単にできる朝のストレッチ:座ったまま編
起床後、座ったままでできるおすすめのストレッチをご紹介します。アプローチできる部位やストレッチの手順を詳しく解説していますので、ぜひ実践してみてください。
肩をリラックスさせるストレッチ
楽な姿勢で座って行う、肩と背筋のストレッチです。あぐらの姿勢で座ったら、肩を耳に近づけるように肩をすくめて10~20秒静止し、その後、肩をすとんと落とします。
次に、右腕を前に伸ばして左腕で右肘部分を持ちます。左腕で右腕を引っ張るイメージで強く伸ばし、10~20秒静止。肩周りの筋肉が伸びるのを感じます。左側の腕も同じように行って完了です。
背中と腰をほぐすストレッチ
座ったまま上半身を左右に倒して、腰や背中、首をほぐすストレッチです。
椅子に腰かけて背筋を伸ばし、両腕を頭の上に載せながら首を右に倒します。できる限りゆっくりと倒すことを意識してください。このとき、傾けた首と反対側の体側が伸びるのを感じましょう。首が倒れたらゆっくりと戻して、左側も同じように行います。5往復を繰り返して完了です。
ふくらはぎのストレッチ
イスがないときも、ベッドの端に腰かけて行えるふくらはぎのストレッチです。
椅子やベッドの端に浅く腰かけて、背筋を伸ばします。片方の足を伸ばし、かかとを床につけた状態でつま先は上に向けましょう。背筋を伸ばしたまま、ゆっくりと息を吐きながら上体を腰から前に倒します。倒したら息を吸いながら元の姿勢に戻します。伸ばす足を入れ替えて左右同様に行って完了です。
ふくらはぎのストレッチは脚全体の血行を促進してくれるので、冷えやむくみに悩む方にもおすすめです。
朝の習慣にストレッチを取り入れてみよう
起床後のストレッチを習慣にすると、様々な効果が期待できるとわかりました。寝たままや座ったまま行えるストレッチなら、朝起きて「伸び」をするような感覚で無理なくできそうですね。
ストレッチはできる限りゆっくりと身体を伸ばし、呼吸を止めないように行うことが大事です。また、筋肉や関節に大きな負担がかからないよう、痛みのない範囲で行いましょう。
天気の良い日はぜひ太陽の光を取り入れながら、リラックスした状態で実践してみてください。