昼寝はパフォーマンス向上につながる?仮眠の効果とパワーナップの方法を解説!
仮眠についての研究は、昔から盛んに行われてきました。昼間に短い睡眠を取る「パワーナップ(積極的仮眠)」という言葉も生まれ、昼寝制度を導入する企業や学校も増えています。日本でも厚生労働省が発表した「健康づくりのための睡眠方針2014」の中で昼食後に30分以内の仮眠を推奨しており、適度に取り入れる場合は有用性があるものとして認識されつつあります。
仮眠・昼寝の役割とは?
仮眠・昼寝は、目的に応じて分類できます。まずは、なぜ仮眠・昼寝をするのか、その理由を考えてみてください。仮眠・昼寝の目的を決めると、目的に合わせた仮眠・昼寝の計画を立てられるでしょう。
睡眠負債の軽減
夜更かしや夜何度も目が覚めて細切れの睡眠で十分に眠れなかったときには、仮眠を取ることで疲労感や眠気を一時的に解消できます。不足した睡眠時間は借金になぞらえて「睡眠負債」と呼ばれており、日中のパフォーマンスや感情のコントロールに悪影響を及ぼします。出産後の母親は、生後まもない赤ちゃんへの授乳で深夜に何度も起きなくてはならず、睡眠も途切れがちです。日中に仮眠を取ることで、夜間の睡眠不足を補うことができるほか、不安や疲労感の軽減にもつながります。
エネルギー回復
午後のパフォーマンスを高めるのに効果的なのが昼寝です。午後のエネルギーを回復させるために行う昼寝は、「パワーナップ(積極的睡眠)」とも呼ばれています。パワーナップは、身体が疲れてくるタイミングで15分程度の睡眠を取り、眠気を解消する方法です。
昼寝によっては夜に眠れなくなってしまう場合や、生活のメリハリがなくなるとかえって悪影響を及ぼす可能性もあるので12時~15時までの15分以内 (眠りが深くなる前)とすることを 推奨します。
睡眠不足の予防
夜にまとまった睡眠が取れないとわかっている場合にも、仮眠が効果的です。こういった睡眠不足の「予防」としての仮眠は、夜勤のある労働者がよく行っています。夜勤勤務がある看護師や警備員がいる施設には、仮眠室が設けられることもあります。 夜間に仮眠を取ることで、昼間よりも短い時間で疲労回復効果を得られるというメリットもあります。
発育のサポート
子どもは、大人よりも睡眠の必要性が高いことで知られています。成長ホルモンは眠っているときに多く分泌されるため、睡眠時間の確保は子どもの発育に欠かせません。国立睡眠財団(National Sleep Foundation)では子どもの睡眠時間は、3~5歳で10~13時間、6~13歳で9~11時間、14~17歳でも8~10時間 ほど取ることを推奨しています。
名古屋大学による研究では、寝就時間が遅く寝不足が続いている子どもに不注意や多動などADHD(注意欠陥多動性障害)と似た症状が見受けられたとしており 、子どもの睡眠が脳の発達にもかかわっていることが伺えます。
免疫機能のサポート
風邪を引いたときに眠くなるのは、ウイルスと戦うために免疫系がはたらき、普段よりもエネルギーを必要とするからです。免疫系は睡眠中にもっとも活発になるため、十分な睡眠が免疫系のはたらきを助け、体調の回復をサポートすると考えられています。特に、感染症にかかった場合は普段よりも多くの睡眠が必要になります。
昼寝のメリット
昼寝には様々な メリットがあります。午後のケアレスミスを防ぎ、記憶機能や注意力を回復させ、仕事をスムーズに片付ける手助けになるかもしれません。適度な昼寝(夜間の睡眠不足を補う程度)には以下の効果があります。
- 眠気を軽くする
- 認知能力を改善する
- 記憶を補助する
- 感情をコントロールする
眠気を軽くする
日中に眠たくなる理由は様々で、睡眠不足、体内時計の乱れ、食後の体内の反応などが挙げられます。午後の眠気を感じる前に短い仮眠を取ることで、眠気を軽くすれば 業務や学業に集中できるようになるでしょう。
認知能力を改善する
睡眠不足が続くと、認知力が低下することが知られています。睡眠時間が不足することで注意力が散漫になりやすく、強い眠気にもおそわれるため、小さいミスだけでなく、ドライバーの居眠り運転による交通事故のような重大事故につながってしまうかもしれません。仮眠によって睡眠を補うことで認知能力が改善し、ケアレスミスを起こしにくくなります。
記憶を補助する
学習後の睡眠は、新しく学んだ情報を整理し、記憶に統合するために必要な時間です。睡眠時間が少ないと、脳が情報を整理する時間が足りなくなり、なかなか記憶に残すことができなくなります。睡眠時間を削って勉強をしたいという方もいるかもしれませんが、夜にぐっすり眠ることで、昼の勉強効率が高まるというメリットがあります。
感情をコントロールする
睡眠は怒りや恐怖を和らげ、感情を安定させるという大きな役割を担っています。
国立精神・神経医療研究センターは、マイナスの感情を感じるための「偏桃体」と呼ばれる脳の部位が、睡眠不足のときにはより強く反応することを発見しました。(※1)同研究は、5日間の睡眠不足状態に置かれた被験者を対象に行われ、睡眠不足はたった数日であっても情動的な不安定や抑うつのリスクを高めることがわかっています。昼寝で睡眠を補うことで、不安や怒りといった負の感情が小さくなり、心穏やかに過ごせることが期待できます。
昼寝をしすぎるデメリット
短い昼寝のメリットを示す研究はいくつかありますが、昼寝をしすぎるとデメリットがあること も知られています。
たとえば、長い昼寝は睡眠のリズムを崩してしまう恐れがあります。夜になかなか寝つけない、夜中に頻繁に起きてしまうなどの症状がある方は、昼寝によって睡眠のリズムがさらに崩れ、睡眠の質が悪化してしまう可能性があります。もしくは、「長い昼寝が睡眠の質を悪化させる」のではなく、「睡眠の質が低いから、長い昼寝をしてしまう」のかもしれません。明らかなのは、昼寝は午後のエネルギーを回復させるには効果的でも、慢性的な睡眠不足に対する抜本的な解決策ではない、ということです。
高齢者の昼寝の取りすぎは糖尿病、心臓病、うつ病といった病気のリスクを高めるという考えもあります。高齢者と昼寝の関係はさらなる研究が必要なフェーズではありますが、1時間以上の昼寝が健康に悪影響を及ぼす可能性も示唆されています。健康上の不安を抱えている方や高齢者の場合は、午後の仮眠をルーティンに組み込む前に、必ずかかりつけ医か専門医に確認を取ることをおすすめします。
効果的なパワーナップ(積極的仮眠)の方法
ランチタイムにパワーナップ(積極的仮眠)を取ることで、夜の睡眠に影響が出ない範囲でリフレッシュすることができます。パワーナップを始めたい場合は、次の点に注意しながら昼寝を行ってみてください。
15分程度で起きる
うっかり眠りすぎないように、目覚まし時計のアラームを15分を目安にセットしましょう。30分以上眠ってしまうと脳が深い睡眠に入ってしまい、寝起きが悪くなってしまいます。覚醒できたとしても、起きるときに不快さや倦怠感といった睡眠惰性を感じてしまうので注意が必要です。
なお、逆流性食道炎や胸焼けといった症状のある方は、ランチの後すぐに横になると症状が悪化する可能性があります。気になる方は、食事をする前に昼寝をする時間を設けると良いです。
快適な環境を用意する
目をつぶって横になるだけでも良いですが、しっかりと眠ることでよりリフレッシュできます。昼寝であっても、すぐ眠りに入れる快適な環境を整えましょう。
眠りやすい環境の条件は、暗く、静かで、涼しい場所です。昼寝でもベッドに横になったほうが快適ですが、難しければ机に突っ伏して眠る方法でも構いません。その際には、光や音をシャットアウトすることを意識してみましょう。職場や学校で昼寝をする際には、光を遮るアイマスクやノイズを防ぐ耳栓が役に立ちます。昼寝に慣れないうちは、リラックスできる睡眠導入音楽に頼るのも良いでしょう。
昼寝前に少量のカフェインを摂る
コップ1杯分のコーヒーや緑茶・紅茶などのカフェイン飲料を飲むと、眠気を和らげることができます。カフェインの血中濃度は約30分でピークに達し、覚醒効果は4時間ほど続きます。昼寝から目覚めた後にカフェインを摂ることで、日中の集中力を維持する助けになるでしょう。また、昼寝をする前にカフェインを摂り、短い昼寝をすることで、ちょうど目が覚めるタイミングでカフェインの効果が表れはじめ、すっきりと目覚めることができます。
夜間にもしっかりと睡眠を取る
長時間の昼寝にはデメリットがあると示す研究もいくつかあります。また、日中に30分以上 眠ると睡眠惰性が生じやすくなります。起きた後もしばらくぼんやりとしてしまい、スッキリとした気分にはなれないかもしれません。
つまり、昼寝で一時的に睡眠負債を減らすことはできますが、夜間の深い睡眠の代わりにはならないということです。昼に眠りすぎると夜に眠れなくなる可能性があり、睡眠の質がますます悪くなってしまうかもしれません。昼寝は午後の早い時間、深い眠りにつかない程度に留めて、まずは夜にぐっすり眠ることを大切にしてください。
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Active Sleep BED参考文献
(※1) 国立精神・神経医療研究センター「国立精神・神経医療研究センター・三島和夫部長らの研究グループが、睡眠不足で不安・抑うつが強まる神経基盤を解明 」
Active Sleep LABとは
「明日の眠りを、今日より楽しく」
Active Sleepが持つ眠りにまつわるアレコレを、皆さんに届けたい。
Active Sleep ANALYZERのデータ分析を中心に、情報発信をしています。
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