昼寝で眠りすぎてしまうのはなぜ?仮眠に最適な時間と日中寝すぎてしまう原因を解説!
昼寝や仮眠には、リラックス効果やパフォーマンス改善効果があると考えられています。一方で、「昼に3時間眠ってしまい、眠気や倦怠感が増した」 というような経験から、昼寝にデメリットを感じる方も多いかもしれません。昼寝は日中の眠気や倦怠感を改善する方法として有用ですが、眠り方を間違えると、夜の睡眠に支障が出てしまう可能性があることも確かです。
この記事では、昼寝や仮眠に「適した時間の長さやタイミング 、日中に強い眠気を感じる原因について解説します。日中の眠気や倦怠感を解消したいと考えている方は、今回紹介する適度な昼寝をぜひ試してみてください。
パフォーマンスを高める昼寝時間の長さは?
適切な仮眠を取るために重要な要素は「時間」です。昼寝の理想的な長さは、15分間程度 (深い眠りにつく前)の睡眠といわれています。2006年にオックスフォード大学が発表した研究によれば、5分間の昼寝は、昼寝をしないケースと比較してもほとんどメリットがありませんでした。一方、15分程度の昼寝は、主観的な眠気・倦怠感・活力・認知能力などの改善と関係していました。このように、日中の短時間睡眠はパフォーマンスを改善するといわれ、午後のためにリフレッシュする昼寝を「パワーナップ(積極的仮眠)」と呼ぶこともあります。
また、30分以上 の睡眠はかえって眠気や倦怠感が強くなってしまうこともわかっています。深い睡眠(ノンレム睡眠)に入ってしまい、短い時間で覚醒するのが難しくなってしまうからです。もし目覚めることができても、しばらくは眠気による不快感や倦怠感を覚えるでしょう。このような、いわゆる寝ぼけた状態は「睡眠惰性」と呼ばれています。車が急ブレーキを踏んでもすぐには止まれないように、眠っていた体を一瞬で覚醒させることはできないのです。そのため、昼寝をする場合は15分程度を目安にすることをおすすめします。睡眠惰性が発生する30分以上の仮眠は避けたほうが良いでしょう。
ただし、こういった短い昼寝が良い影響を与えるとわかっているのは、健康な成人を対象にした場合です。たとえば、病気の方や小さな子どもはより多くの睡眠を必要とするため、昼寝の時間を短くしてしまうと睡眠不足に陥る可能性もあります。
仮眠を成功させる方法
仮眠を正しく取り入れることで、睡眠不足によるパフォーマンスの低下を防ぎ、日常生活を送るための活力を維持できます。仮眠を取り入れる際には、以下の点に注意しましょう。
- 昼は15分 程度を目安に眠る
- 夜間の仮眠は連続2時間
- 快眠できる環境をみつける
- 夜間に十分な睡眠を取る
昼は15分程度を目安に眠る
エネルギーを回復させ、記憶機能の改善やパフォーマンス向上を目的に行う仮眠には、「短い昼寝」が望ましいといわれています。この短い昼寝はパワーナップとも呼ばれています。
パワーナップを行うときは、15分程度で起きられるようにアラームを設定しましょう。昼寝が30分を超えると深い眠りに入ってしまい、無理やり覚醒したときに、眠気や倦怠感を覚えてしまうからです。
パワーナップでは、短い時間でも「眠る」ことが理想ですが、眠れなくても問題ありません。目を閉じるだけでも脳に伝わる情報の大部分をシャットアウトでき、脳を休ませることができるからです。目を閉じて、光や音などの刺激に触れない時間を作ってみましょう。
ヒトは体内時計によって睡眠・覚醒のリズムがあり、午前2~4時、午後2~4時に眠気のピークが来るとわかっています。この時間帯は脳の働きが低下するので、パワーナップは、その眠気が来る前に行うことがおすすめです。そうすることで、睡眠覚醒リズムがリセットされ、眠気を感じにくくなるといわれています。
また、夜の睡眠に影響を及ぼさないように、15時以降には仮眠を取らないようにしましょう。夕方以降は深い眠りに入りやすい時間帯なので、短い仮眠であってもリフレッシュしにくく、眠気や倦怠感を覚えることがあります。
夜間の仮眠は連続2時間
夜勤の労働者は、眠気を解消してヒューマンエラーを防ぐため、夜勤前や夜勤中に仮眠時間を設けることがあります。日本看護協会によれば、夜勤中の22時~翌朝6時に連続2時間程度の仮眠を取ったほうが良いと推奨しています。体内時計の睡眠・覚醒リズムに合わせて夜間に眠るほうが、疲労回復の効率が良いからです。
睡眠にもリズムがあり、睡眠周期の1サイクルは90~120分 といわれています。浅いレム睡眠から深いノンレム睡眠に入って1サイクルが終わり、その後は再び浅いレム睡眠に移行します。夜は深い眠りに入りやすいため、仮眠から起きたときに寝ぼけ(睡眠惰性)が生じるのは避けられませんが、1サイクルが終わる眠りの浅いタイミングにアラームを設定しておくことで、比較的すっきり起きられるうえ、健康上の悪影響も小さくなります。
快眠できる環境をみつける
睡眠には快適な環境が必要ですが、それは昼寝でも同じです。短時間でも心地よく眠るために、暗くて静かな環境を整えましょう。覚醒を促す光はできるだけ遮るほうが良いので、昼寝をするときにはアイマスクが便利です。アイマスクがない場合は、うつ伏せになったり、上着をかぶったりすることで暗い環境を用意できます。ベッドで眠るのが理想ですが、仮眠室がない場合は机にうつ伏せで眠るのが手軽です。
ノイズが気になる場合は耳栓をするか、リラックスできる音楽を聴くことで眠りに入りやすくなるでしょう。ヘッドホンやイヤホンを使う場合は、音量を大きくしすぎないように注意してください。周囲のにおいが気になる、目が覚めて眠れないという場合は、リラックスできるアロマの香りを取り入れることで、眠りにつ きやすくなります。
夜に十分な睡眠時間を確保する
昼寝は日中の眠気を解消する最適な手段ですが、慢性的な睡眠不足を解消してくれるアプローチとはいえません。まずは、夜にしっかりと睡眠時間を確保するようにしましょう。
昼寝で睡眠不足を解消しようとする方もいますが、日中に長く眠ってしまうと深い睡眠に入ってしまい、覚醒しにくくなります。この状態から無理に目覚めると、しばらく頭がぼーっとする「睡眠惰性」の状態になりやすいため、午後のスタートダッシュを切れなくなります。
また、昼に長く眠りすぎると睡眠のリズムが崩れてしまい、夜に寝つけなくなってしまう可能性もあります。パフォーマンスを向上させるために昼寝を行う場合は15分程度 に留めましょう。昼寝は日中の活力を回復するための手段として使い、夜にも十分な睡眠を取ることが大事です。
なお、仮眠の効果やパワーナップの取り入れ方について詳しく知りたい方は、以下のページもぜひ参考にしてみてください。
昼寝はパフォーマンス向上につながる?仮眠の効果とパワーナップの方法を解説!
日中に強い眠気を感じてしまう原因
午後になると、「眠すぎて集中できない」、「昼寝で3時間寝てしまう」という悩みを持つ方もいるかもしれません。日中に眠気を感じる理由は多岐に渡ります。夜更かしをしたから、寝る直前にスマホやゲーム機を触ったから、あるいはランチのメニューに炭水化物が多かったからという理由があるかもしれません。しかし、中には、病気の兆候が日中の眠気としてあらわれることもあります。
どのような理由であれ、眠気が何の兆候であるのか知る必要があります。原因がわかれば、日中の眠気の改善方法を考えることができるでしょう。日中に眠りすぎてしまう理由としては、以下のような原因が考えられます。
- 慢性的な睡眠不足になっている
- 睡眠障害がある
- 慢性的な病状・精神障害がある
慢性的な睡眠不足になっている
強い眠気を感じる理由として最も多いのが、慢性的な睡眠不足です。慢性的な睡眠不足は、日中の眠気のほかに、認知能力や記憶力の低下、情動的な不安定や抑うつといった悪影響を引き起こします。
成人に必要な睡眠時間の目安は7時間前後と考えられています。しかし、睡眠には個人差があり、体質によってはさらに短い睡眠で十分な方もいれば、もっとたくさんの睡眠時間が必要な方もいます。また、年齢に応じて睡眠時間が変化することもあります。
睡眠不足の原因は、自分の意志で夜更かしをすることだけではありません。むずむず脚症候群や閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSA)などの症状で眠りが中断され、慢性的な睡眠不足に陥ることもあります。睡眠中に起こる症状は自覚しにくいため、パートナーから指摘されたり、病院で調べてもらったりするまで気づかないことも珍しくありません。たとえ夜更かしをしていなくても、睡眠不足に陥っている可能性は考えられます。
しかし、夜の睡眠にまったく問題がないケースでも、日中に強い眠気を感じる方もいます。十分な睡眠を取れているにもかかわらず強い眠気を感じる場合は、睡眠障害や他の病気の前兆かもしれません。
睡眠障害 がある
特発性過眠症やナルコレプシーといった睡眠障害は、覚醒を促進するホルモンに影響を及ぼして日中の眠気を引き起こすと考えられています。たとえ十分な睡眠時間を確保していても、日中に強い眠気を感じてしまい、日常生活に支障をきたしてしまうのです。こういった症状を自力で直すのは難しく、早めに専門医の力を借りることがカギとなります。
また、概日リズム睡眠障害は、体内時計を地球の24時間周期に合わせることができず、夜になっても眠気を感じにくくなる睡眠障害です。ヒトの体内時計は約25時間の周期を持っており、自然光が入らない空間にいると睡眠・覚醒時間が1時間ずつズレていくことがわかっています。概日リズム睡眠障害は体内の睡眠スケジュールが崩れている状態なので、日中の強い眠気と夜間の不眠症が同時に起こることもあります。
慢性的な病状・精神障害 がある
睡眠と健康は密接にかかわっており、慢性的な病状や精神障害によって日中の眠気を感じることがあります。
たとえば、パーキンソン病、多発性硬化症、がん、甲状腺機能低下症、肥満などは、日中の強い眠気を伴う症状です。病気を治療するための降圧剤・甲状腺製剤・抗がん剤といった薬の副作用として、眠気や不眠が生じることもあります。また、こころの病気は不眠を 併発することが多く、不眠症状がうつ病によるものだったというケースもあります。不眠に加えて、心身に不調があらわれている場合には、無理せず専門の医療機関を受診してください。
昼寝はサポート程度に、夜の睡眠を大切に
短い昼寝は日中のパフォーマンスを高めてくれます。昼寝を取り入れる場合は、12時~15時の間に、15分程度 (深い眠りにつく前)を目安に行ってください。夜勤の際には、昼寝よりも夜間に眠ったほうが効率的です。22時~翌朝6時の間に、2時間程度を目安に仮眠を取りましょう。短時間でも入眠する方が効果的ですが、眠れなくても、目をつぶって横になるだけでも体や脳は休まります。眠気や疲労を感じたら、無理せず体を休めてください。
昼寝 は一時的な対策であって、通常の睡眠時間を短くして良い理由にはなりません。慢性的な睡眠不足は、糖尿病・肥満・心臓病などのリスクを高めることがわかっています。睡眠時間が短すぎると、日中に強い眠気を感じたりパフォーマンスが下がってしまったりと、日常生活に支障をきたす恐れもあります。
睡眠時間を確保しているにもかかわらず強い眠気に悩まされる場合は、病気や精神疾患の兆候かもしれません。日中の眠気が日常生活に影響を及ぼしていると感じる場合は、早めに専門医の診察を受けましょう。
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