睡眠学習って意味あるの?睡眠と勉強方法の関係性を紹介
英語をはじめとする外国語の単語を暗記する学習で、「睡眠学習」という言葉を耳にしたことのある方もいらっしゃるでしょう。今回は、睡眠と記憶力の関係性や一度は試していただきたい睡眠学習の方法をご紹介します。加えて、睡眠不足や質の悪い睡眠がもたらす学習への影響についても詳しく解説します。睡眠と学習の関係をよく知りたいという方は、ぜひ参考にしてください。
睡眠学習とは?
睡眠学習とは名前の通り、眠りながら学習するという勉強法を指しています。
日本では、1960年代に枕とテープレコーダーを組み合わせた「睡眠学習器」という商品が発売されました。これは枕の裏にカセットテープをセットし、眠る際にそのテープを聞けば暗記ができるとうたわれたアイテムです。ただ、睡眠学習器ではテープに記憶したいことを吹き込む過程で記憶することはあっても、睡眠時に聞くだけでは記憶はできないという認識が広まったことで、市場から消えてしまいました。
しかし、2009年にアメリカ合衆国イリノイ州のノースウェスタン大学が行った実験により、新たな説が浮上します。この実験は画像の記憶と音の結びつきに関する内容であり、「深い睡眠時には記憶が強化される」可能性を示唆した結果が出たのです。
2012年にワイツマン科学研究所の神経学者らのグループが行った実験では、「睡眠中には古い記憶の固定だけではなく、新たな学習ができる可能性がある」といった結果が出ました。さらに、同年の日本でのショウジョウバエの脳機能の調査では、「睡眠中に学習の回路だけを働かせられれば、睡眠学習を論理的に裏付けられる可能性がある」と発表されました。
これらのことから、睡眠学習はまったく不可能な学習方法ではないのではないか、とされています。
睡眠と記憶力の関係性について
「寝る前に覚えたものは定着しやすい」という説は科学的に裏付けられています。これは、アメリカの心理学者による研究で、暗記をした後にすぐに眠った場合と、暗記をしてからすぐに眠らず起きていた場合とでは、前者のほうが長い間記憶が保たれたという結果によるものです。
暗記をしてからすぐに眠ったほうが良い理由
この結果には、脳の司令塔とされる海馬の働きが関係しています。海馬の働きの1つに、寝ている間に頭のなかにある断片的な記憶や情報を整理することがあります。海馬が断片的な情報同士を組み合わせて整合性を確認し、整合性のある情報が長期の記憶として大脳に保存されます。
寝る前に覚えたものが定着しやすいのは、寝る時間よりだいぶ前に入ってきた情報と比べて、寝る直前の情報のほうが扱いやすいとされているからです。たとえるなら情報はジグソーパズルのピースのようなもので、寝る時間よりだいぶ早い時間に頭に入ってきた情報は、寝るころにはもうバラバラに散らばっており、海馬が拾い集めるのに一苦労します。その一方で、寝る直前に頭に入ってきた情報は、同じジグソーパズルのピースでも1ヶ所にまとまっているので、その分海馬は楽に情報を整理できるのです。
ノンレム睡眠時に復習のための音声を流すと良い
人間の睡眠には浅い眠りの「レム睡眠」と深い眠りの「ノンレム睡眠」があり、記憶の整理や定着に良いのがノンレム睡眠の時間です。この2つは眠っている間で交互に繰り返されており、一般的に眠りに入ってすぐの睡眠はノンレム睡眠だとされています。
海外の研究者による実験から一定の条件下で音を聞くと、それが記憶に残りやすくなることがわかっています。条件は2つあり、1つ目が起きている間に覚えておきたいことを学習すること。2つ目が2種類ある人間の睡眠のなかでも、深い眠りである「ノンレム睡眠」の間に覚えておいた内容の音を聞くことです。
つまり、就寝前に勉強をし、その内容をノンレム睡眠時に聞けば、円滑な記憶の整理や定着が期待できます。一般的に人間は眠ってからすぐに深いノンレム睡眠に入り、約1時間で浅いレム睡眠に移るとされているので、眠りに入ってすぐ覚えたい内容を聞ける状況をつくっておくと良いでしょう。
やってみる価値あり?睡眠学習のやり方
睡眠学習は科学的に立証されている学習法ではありません。しかし、これまでの研究や実験から、睡眠をうまく活かせば効率の良い学習ができる可能性は示唆されています。以下では、勉強の効率化が期待できる睡眠学習の方法をご紹介します。
※あくまでも、科学的に立証されている学習法ではないことにご留意ください。
就寝前の30分~2時間前に集中して勉強する
脳のなかにある海馬は、就寝中に記憶や情報を整理しています。海馬は寝る時間よりだいぶ前に入ってきた情報より、寝る直前の情報のほうが整理しやすいのが特徴です。
そのため、覚えておきたい内容は、「寝る前の30分~2時間前」に集中して学習するのが効率的という考えがあります。
特に暗記系の分野がおすすめ
寝る直前は暗記要素の多い分野の学習がおすすめです。暗記が中心の資格試験の勉強や、英単語やその他外国語の単語の暗記などに取り組んでみましょう。暗記系の分野を良しとする意見では、勉強が完了したら、なるべく何もせずにすぐに寝るようにすることが推奨されていることが多いです。
睡眠時間を削って長時間ダラダラと勉強するのは逆効果
勉強時間は長く取りたいからといって、眠る前に長時間勉強するのは控えたほうが良いでしょう。睡眠時間を削ってまで勉強しても、睡眠の質が低下します。もちろん、睡眠不足にもなるでしょう。睡眠時間が不足していると、せっかく寝る前に覚えたことがうまく定着しない可能性があります。勉強したことが覚えられず、ストレスを抱える恐れもあるでしょう。
ハーバード大学の研究では新たな知識の定着のためには、睡眠時間を6時間以上取らなければならないという結果を発表しています。この結果からわかるように、長い時間をかけてダラダラと勉強したり、試験前だからと徹夜をしたりするのは逆効果です。短時間で集中して勉強するほうが、学習した内容の定着には望ましいといえます。睡眠時間をしっかり確保することが、質の良い学習への第一歩です。
寝ている間に、暗記した内容を音声で流す
海外で行われた実験から、眠る前に覚えたいことを勉強しておき、その内容の音声を寝ている間に流すと記憶に残りやすいとされています。
過去にスイス大学では、「ノンレム睡眠時に外国語の音声を復習として聞くことで覚えられるか」といった趣旨の実験が行われました。実験の結果、ノンレム睡眠時に外国語の音源を耳にした学生は、起きた後に単語を覚えている確率がアップしたとされています。
睡眠学習の方法をまとめると、眠る30分~2時間前に覚えたいものを学習しておき、ノンレム睡眠時にその内容の音声を流せば、記憶の定着につながるということです。流す音声は市販の学習用音声、もしくは、自分で話して録音した音声という方法も考えられます。睡眠学習を試してみるのであれば、音声は睡眠を妨げてしまわない程度の音量にすると良いでしょう。
起床したらすぐに復習する
起床後には前の日に勉強した内容がどれだけ記憶できているか、小テストを解いたり、暗記した箇所を思い出せるか確認したりして、復習を行うようにします。朝は前の日の記憶が脳内で整理されており、記憶を保持する準備ができている状態とされているという説があります。前の日に学習した内容を朝のうちに復習すれば、それらが長期記憶として脳に残りやすいのです。
睡眠不足や質の悪い睡眠がもたらす勉強への弊害
睡眠時間が極端に短い、睡眠の質が悪いといったことがあると、体調面はもちろん学習にも弊害があるものです。以下では睡眠不足や質の悪い睡眠による影響を解説します。質の良い学習を行うためにも、睡眠の重要性について把握しておきましょう。
精神面・学習意欲に悪影響
睡眠不足が続くと集中力が低下し、勉強の効率が落ちます。集中力が低下した状態で学習すると記憶が定着しにくくなり、通常より余計な時間がかかってしまうからです。
また、睡眠不足は勉強へのモチベーションを低下させてしまうこともあります。勉強へのモチベーションを上げるためには、ストレスをためないことが大切です。しかし、睡眠不足が慢性化するとストレスが増大します。なぜなら、睡眠中は頭のなかの情報とともに、ストレスも整理されているからです。結果、睡眠不足が続くとストレスの整理が難しくなって溜まってしまい、モチベーションの低下につながってしまいます。
仮眠も上手に活用する
心身が疲れていたり、勉強していて眠気が襲ってきたりしたときには、無理に勉強を続けるのではなく、仮眠を取るのが得策です。仮眠を取ると、ストレスをやわらげたり、脳を覚醒させたりする効果が望めます。仮眠は15分程度の短時間にすることで、意識をはっきりさせ注意力や集中力を回復させるとされています。逆に、30分以上の長時間の仮眠は、覚醒にエネルギーを使ってしまうので、かえって不快感や倦怠感につながってしまうことがあります。
仮眠については、以下の記事でご紹介しています。併せてご確認ください。昼寝で眠りすぎてしまうのはなぜ?仮眠に最適な時間と日中寝すぎてしまう原因を解説!
質の良い眠りを得るには、寝具を見直すのも1つの手です。パラマウントベッドの「Active Sleep BED」は心地良い眠りをサポートする電動ベッド。入眠時にはあなたが眠るときに心地良いと感じる角度に調整できます。また、入眠後はゆっくりとフラットな状態に戻るので、寝返りが打ちやすくなるといった特徴があります。
寝具の見直しを検討されている方はぜひこちらのActive Sleep BEDで心地良い眠りをご覧ください。
また、パラマウントベッドでは、全国の中学生に向けて、「睡眠」の大切さを学ぶ教育プログラムを開発しました。昨今の中学生は、スマートフォンの利用、部活動や宿題に取り組む時間の増加により、就床時間は遅くなる傾向があります。開発した教材は、中学生を対象に、睡眠のメカニズムや良質な睡眠について理解しやすい内容で構成しています。詳しくは以下のページでご紹介していますので、この活動にご興味のある方は、ぜひご一読ください。
睡眠について学ぶ中学生向け教育プログラムを開発Active Sleep LABとは
「明日の眠りを、今日より楽しく」
Active Sleepが持つ眠りにまつわるアレコレを、皆さんに届けたい。
Active Sleep ANALYZERのデータ分析を中心に、情報発信をしています。
SNSでも情報発信中。↓↓↓