中途覚醒はなぜ起きる?夜中に目覚めてしまう原因と改善策
夜中に目が覚めて睡眠が浅くなったり、目覚めたまま再び眠れなくなったりする状態を、中途覚醒と呼びます。中途覚醒はどういったときに現れて、どのように対処できるのでしょうか。今回は、中途覚醒の原因や対策、夜中に目が覚めてしまったときの対処法について解説します。
中途覚醒とは?どんな症状なの?
中途覚醒は不眠症の1つで、深夜に目が覚めてしまう状態のことをいいます。加齢とともに中途覚醒の可能性は高くなるといわれていますが、中途覚醒の現れ方には個人差があります。共通しているのは、起床時間よりもずいぶん早い時間に目が覚めてしまうということ。一度目が覚めてしまうと朝まで寝付けなくなるケースもあります。
深夜に脳が覚醒すると睡眠リズムが崩れてしまい、その後も深く眠ることができなくなって睡眠の質低下につながります。そのため、寝覚めが悪い、熟睡できないと感じることが増えてくるでしょう。
昼間にも眠気が残りやすいので、日中の集中力低下や注意力散漫につながることもあります。【中途覚醒の傾向は?】セルフチェックしてみよう
中途覚醒や日中の強い眠気といった不眠症状はいきなり現れるわけではなく、何らかの原因によって徐々に引き起こされている可能性があります。
中途覚醒しやすい生活習慣が身に付いてしまっているのかもしれませんし、病気の前兆かもしれません。
自分の睡眠状態を知る第一歩として、まず自分の不眠にどのような傾向があるのかを知るところから始めてみましょう。アテネ不眠尺度を基準に、睡眠の状態をチェックしてみてください。
ここでアテネ不眠尺度とは、世界保険機関(WHO)を中心に設立された「睡眠と健康に関する世界プロジェクト」において作成された、世界的な不眠症の判定方法のことです。
下記で「過去1カ月間に週3回以上経験した」と回答できる項目が多ければ、不眠の傾向が強いと考えられます。
- ベッドに入ってから眠りにつくまで時間がかかる
- 夜間、睡眠の途中で目が覚めてしまう
- 希望する起床時間より早く目覚めてしまい、それ以降眠れない
- 夜の睡眠や昼寝を合わせても、睡眠時間が足りないと感じる
- 全体的な睡眠の質が低いと感じる
- 日中に気が滅入る
- 日中の身体的・精神的なパフォーマンスが低下していると感じる
- 日中に眠気を感じる
「睡眠の質が下がっているかもしれない」と感じたら、自分の睡眠について記録してみましょう。上記の症状があるかどうか、どれくらい強く感じたのかについて、まずは2週間ほど記録してみてください。
日中の行動に影響が出ている場合は、すみやかに医師に相談することをおすすめします。また、受診するうえで睡眠記録を持参すれば、原因の特定や対処法がより早くなるでしょう。
中途覚醒10通りの原因を解説
中途覚醒に至る理由はさまざまですが、主に以下のような要因が関係していると考えられます。
- ストレス
- 生活リズムの乱れ
- 頻尿
- 睡眠時無呼吸症候群
- 悪夢を見る
- 頭痛
- 周期性四肢運動障害
- うつ病
- 加齢の影響
- 妊娠の影響
ストレス
気になることや不安にさらされた状況が強いストレスとなり、不眠につながることがあります。眠りにつくときは副交感神経が優位になり、身体がリラックスした状態になります。しかし、強いストレスを感じている状態だと、緊張時に優位になる交感神経が活発になってしまいます。
そのため、ベッドに入ってもなかなか眠れなかったり、途中で何度も目が覚めたりします。
また、時間で見ると睡眠がとれていたとしても熟睡状態にはなりづらく、日中のパフォーマンス低下にもつながってしまいます。
生活リズムの乱れ
夜間に目が覚めやすい原因として、生活リズムの乱れが挙げられます。
睡眠を取るタイミングが日によって異なると、眠ろうとしても眠れなかったり、起きているべきときに強い眠気に襲われたりします。
そのため、夜勤がある方や仕事時間が不規則な方は体内時計が乱れやすく、人によっては夜間に目が覚めやすくなってしまうのです。
頻尿
夜間にトイレへ行く回数が増えることで、中途覚醒につながりやすくなります。夜間頻尿には、主に2つの原因があります。尿量の増加
1つ目は「尿量の増加」です。水分を取りすぎる、利尿剤を使うなどの理由で尿の量が増えると、夜間に尿意を感じて目が覚めやすくなります。また、夜間のみ尿量が多くなる要因として、加齢のほかに心臓病・腎臓病などのケースもあり、夜間頻尿で診察を受けたところ、心臓病・腎臓病などが見つかるケースもあります。
膀胱のスペースが小さい
2つ目は「膀胱のスペースが小さくなっている」です。尿を溜める膀胱のスペースが小さくなると頻尿になります。この症状は、前立腺肥大、過活動膀胱、膀胱瘤、直腸瘤、子宮脱など病気が主な原因だと考えられます。
睡眠時無呼吸症候群
睡眠時無呼吸症候群は夜間頻尿になりやすいことも知られています。睡眠時無呼吸症候群とは、眠っているときに気道が狭くなり、何回も呼吸が止まってしまう状態のことです。呼吸が止まることで息苦しく感じて、途中で目が覚めてしまいます。
本人が睡眠時無呼吸症候群を自覚することは難しいですが、家族やパートナーからいびきや無呼吸を指摘されたり、仕事先で居眠りを指摘されたりして、病気が発覚することもあります。
悪夢を見る
悪夢によって、睡眠や日中の活動に支障が出てしまう「悪夢障害」という病気があり、悪夢障害の症状の1つに中途覚醒があります。不快な夢を見やすく、夢の内容を思い出せるという自覚がある場合は、悪夢障害があるかもしれません。
目が覚めたらすぐに意識がはっきり戻ってくる、夢から目が覚めたら再び寝入ることが難しい、といった症状が悪夢障害の特徴として挙げられます。
頭痛
頭痛も不眠の主な原因として挙げられます。眠っている時や起床するタイミングで起きる頭痛もあります。就寝後一定の時間になると頭痛が生じ、目を覚ますことから「目覚まし時計頭痛」といわています。
頭痛そのものが不眠の原因になっていることもあれば、身体の病気やこころの病気、その他の睡眠障害が引き金となって頭痛が起こることもあります。
周期性四肢運動障害
眠れない原因として周期性四肢運動異常症が関与しているケースがあります。また、こちらは自分自身で気づきづらいため、本人に自覚症状がないこともよくあります。周期性四肢運動障害とは、下肢の筋肉が周期的にピクピクと動いてしまう症状です。
これが原因で夜間に目が覚めてしまい、昼間の眠気や疲労の原因となり、日常生活に支障をきたします。むずむず脚症候群に合併するケースも多くみられます。
睡眠時間はしっかり取っているし、いびき・無呼吸発作がないにもかかわらず昼間の眠気を感じる方は、家族やパートナーに腕や足が動いているか確認してもらうのが良いでしょう。
うつ病
うつ病と中途覚醒には深い関係があります。うつ病になると徐波睡眠(深い眠り)が少なくなることが分かっており、眠りが浅くなることで集中力の低下や倦怠感が生まれます。
この状態が続くと、入眠困難、中途覚醒、早朝覚醒といった睡眠障害の症状が出現します。反対に、不眠状態が続くことでうつ病を発症するケースもあります。
加齢の影響
加齢に伴って睡眠時間が短くなり、起床時間が早くなる傾向になります。その理由は、眠りを促すメラトニンというホルモンの分泌量が、加齢とともに減少するためだと考えられています。
さらに更年期には、メラトニンの減少の他、のぼせ・発汗・動悸などの症状でも眠りが浅くなることもあります。
妊娠の影響
女性の場合は、妊娠によって不眠の症状が現れることがあります。妊娠中には、つわり、陣痛、頻尿、胎動などがあり、その影響で途中で目が覚めやすくなるからです。
また、妊娠が睡眠時無呼吸症候群やむずむず脚症候群のきっかけとなることもあり、このような症状によって中途覚醒が増えることもあります。
今日から始められる中途覚醒の対処法
中途覚醒の原因はさまざまですが、眠りを深くすることで、夜中に目が覚めにくくなります。深い眠りに入る方法としては、以下のような対処法があります。
- 起きる時間を一定にする
- 運動を習慣化する
- 食生活を見直す
- 寝室環境を整える
起きる時間を一定にする
起床のタイミングを一定にすることで体内時計が安定し、深い眠りに入りやすくなるので、中途覚醒しにくくなります。
できれば就寝・起床どちらも同じ時間にするのが望ましいですが、より重要なのは「起床」時間です。
眠気はメラトニンというホルモンの濃度でコントロールされています。メラトニンは強い光を浴びると分泌がストップし、14~16時間ほど経つと分泌が再開されます。
つまり、朝に光を浴びないと、メラトニンの分泌をストップさせるタイミングがずれ、夜間に眠気を感じにくくなってしまうのです。まずは、朝に起きる時間を固定することからチャレンジしてみましょう。
運動を習慣化する
運動習慣を維持している人は、そうでない方と比べると不眠症状が少ないことが明らかになっています。運動習慣が安定した深い睡眠を誘導しているといっても過言ではないでしょう。ただし、タイミングによっては激しい運動は逆に睡眠を妨げてしまいます。厚生労働省によれば、快眠のためには有酸素運動(早足の散歩や軽いランニングなど)を就寝3時間前までに行うのが良いとされています。運動を習慣化することは大切ですが、運動する時間帯には気を付けましょう。
※出典: 厚生労働省 快眠と生活習慣食生活を見直す
普段の食生活も、睡眠と深く関わっています。例えば、朝ご飯を食べて覚醒を促すことで、夜間に自然な眠気が生じやすくなります。覚醒と睡眠を切り替えるための重要な役割を担っているのが、先述のメラトニンというホルモンです。メラトニンは、必須アミノ酸の1つ「トリプトファン」を原料にして生成されます。
さらにトリプトファンは、体内で作り出すことができないため、食事から摂取する必要があります。トリプトファンは、大豆製品、乳製品、穀類などに多く含まれているため、朝食でトリプトファンを十分に摂ることで、良質な睡眠へとつなげましょう。
また、眠っている間に消化器系が活性化していると睡眠が浅くなるので、就寝数時間前までに夕食を食べ終わることも重要です。
寝室環境を整える
睡眠状態を改善するためには、室内の環境、湿度・温度や寝具などを見直すことも効果があります。物理的な音や振動を感じる環境では目が覚めやすいので、静かな環境で過ごせるように対策をしましょう。逆に外部の音を気にしないために、BGMを流すのも効果的です。
また、強い光を浴びるとメラトニンの分泌が抑制されて目が冴えてしまうので、寝室内は暗く保ちましょう。
更に、暑すぎる・寒すぎる環境やじめじめとした環境では、深く眠ることができません。必要に応じてエアコンを使い、自分にとって心地良いと思える範囲で温度・湿度を設定してください。
もし、睡眠改善にあたり寝具の見直しをお考えであれば、パラマウントベッドがご提供する「Active Sleep」を選択肢に加えてみてはいかがでしょうか。
自分にとって寝やすい角度をつけて入眠した後に、寝返りをうちやすいようにゆっくり自動でフラットな状態へ戻ります。
朝は背もたれがゆっくりと起き上がり、自然な寝覚めを促します。また、専用のマットレスには硬さ調節機能が備わっており、頭や肩、腰や足など6つの部位ごとにフィット感を10段階で調整できるから、求めていた寝心地にきっとたどりつけるはずです。
Active Sleep BEDに関する詳細は、以下のページでご紹介しております。興味のある方は、ぜひご一読ください。 Active Sleep BED 睡眠に適した環境については環境については、「睡眠の質を上げる方法とは?快眠を得るコツを紹介」で詳しくご紹介しています。【ポイント】「眠らないといけない」を手放そう
深夜に目が覚めてしまったとき、「早く眠らないと寝不足になる」と思い、頑張って眠ろうとしている方は少なくないでしょう。しかし、もし夜間に目が冴えてしまっても、無理に睡眠を取ろうとするのは避けましょう。
「7時間は眠るべき」「24時までに眠るべき」という考えは却ってストレスになり、不眠を悪化させてしまう可能性があります。
また、ベッドの上で「眠らなければならない」と粘ってしまうと、「ベッドの上は眠れない場所」という刷り込みが起こってしまい、不眠の悪化にもつながりかねません。
もし目が覚めてしまったら「眠くなるまでゆっくりしよう」と思い直してベッドから降り、読書やストレッチをしてゆったりと過ごしながら、自然に眠くなるのを待つことが大切です。
人によって必要な睡眠時間は異なりますし、1~2日くらい睡眠が不足したからといって、すぐに重大な悪影響が出るわけではありません。あまり深刻に考えすぎないようにして、「眠らないといけない」という考えを手放すことが、快眠への第一歩です。
ただし強い光を浴びると目が冴えてしまうので、夜間に起きてからスマートフォンやPCゲームをするのは避けましょう。間接照明やキャンドルの光などを灯し、なるべく薄暗い場所でリラックスして過ごしてみましょう。
まずは睡眠リズムの改善から
中途覚醒のためにまずできることは、睡眠リズムの改善です。深い眠りを妨げる習慣を辞め、食生活や寝室環境を改善することで、睡眠の質の改善を目指しましょう。
ただし、生活習慣を改善しても中途覚醒が改善しない、日中の活動に悪影響が出始めているなどの場合は、無理せず病院で診てもらうようにしましょう。
Active Sleep LABとは
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