睡眠中の歯ぎしりはなぜ起こる?ストレスの関係・対策を解説
「朝起きたらなんだか肩が凝っている…、あごにも少し違和感が…」そんな経験はありませんか。もしかすると睡眠時に歯ぎしりをしてしまっているかもしれません。歯ぎしりの原因として考えられるのは、「ストレス」「噛み合わせの悪さ」「噛み締め癖」などが挙げられます。複数ある歯ぎしりの原因を紹介するとともに、歯ぎしり防止・改善のための方法をまとめました。特に、歯ぎしりとストレスは関係しているとされているため、歯ぎしり防止のためのストレス解消法をご紹介します。
歯ぎしりの基本情報
歯ぎしりとは、歯と歯を強い力で無意識のうちにこすり合わせる行為です。「ブラキシズム」とも呼ばれます。寝言や悪夢、寝ぼけ行為など、睡眠中に自分の意思とは関係なく起こる現象「睡眠時随伴症」のひとつです。寝言や寝ぼけ行為と同様に、睡眠中の歯ぎしりは本人に自覚がないことが多く、同じ寝室で就寝しているパートナーや家族に指摘されて発覚するというケースが少なくありません。
歯ぎしりの有無を見分けるチェックポイント
睡眠中の歯ぎしりは、自分自身ではなかなか気づけないものです。そこで、自身でできる歯ぎしりのチェック項目をご紹介します。当てはまる項目が多ければ、睡眠中に歯ぎしりをしている可能性があります。
- 奥歯や前歯がすり減っている
- 歯の表面にヒビが入っている
- 起床時に頭や顎が痛む
- 慢性的な頭痛・肩こりがある
- 頬の内側の粘膜に噛み跡がある
- 歯の根本が削れてきている
- 舌の側面にギザギザした歯型が残っている
- 知覚過敏の歯が増えた
歯ぎしりの原因として考えられる要素は?
歯ぎしりの原因や発生メカニズムについては、未解明のものも多く、現代でも研究が進められています。
現時点で考えられているのは、「ストレス」「噛み合わせの悪さ」「噛み締め癖」などです。それぞれの原因が歯ぎしりとどのように関係しているのか、以下で解説いたします。
ストレス
歯ぎしりの原因のなかでも、特に多いとされるのがストレスです。睡眠中に無意識に歯ぎしりをすることで、日常生活のストレスを発散しようとしていると考えられます。歯ぎしりはストレスに対する防御反応であり、誰にでもみられる生理現象のひとつです。度がすぎなければ、しばらく様子をみても良いでしょう。ただし、「歯が摩耗している」「歯や歯茎に痛みがある」「家族やパートナーに歯ぎしりの音を指摘される」という場合はストレスをケアすると、歯ぎしりを改善できるケースがあります。
噛み合わせの悪さ
上下の歯の噛み合わせが悪いと、睡眠中に歯ぎしりをしてしまうことがあります。以下のようなケースに当てはまる方は、噛み合わせが原因で歯ぎしりをしているかもしれません。
- 高さの合っていない被せ物・詰め物を使っている
- 上下の歯を噛み合わせたとき特定の歯にだけ強い圧力がかかっている
噛み締め癖
力を入れるときや何かに集中しているとき、無意識のうちに歯を食いしばる癖がある方は、睡眠中にも歯を食いしばってしまうことで、歯ぎしりにつながっている可能性があります。筋肉が日中の食いしばり癖を記憶しているため起こると考えられる現象です。特に、力仕事をよくされる方や運動習慣がある方は、噛み締め癖がついているケースが多くあります。
噛み締め癖がなく噛み合わせにも問題がないのであれば、ストレスが歯ぎしりを引き起こしているかもしれません。その場合重要なのは、ストレスを解消して歯ぎしりを防止・改善することです。
歯ぎしりの防止・改善はストレスケアから
原因によってはマウスピースの装着や歯列矯正でも歯ぎしりは改善できますが、そもそもストレスがあると歯並びや噛み締め癖にかかわらず歯ぎしりが表れやすくなります。歯ぎしりを根本から防止・改善したいのであれば、ストレスをケアすることが大切です。その一環として、日々の睡眠の質を見直してみてはいかがでしょうか。以下では、快眠のための栄養や運動、自身に合う寝具の選び方についてご紹介いたします。
快眠のために摂りたい栄養3つ
快眠のために、積極的に摂りたい栄養素3つピックアップしました。本項目でご紹介するのは、心身をリラックスさせる効果が期待できる「GABA」、眠気を促すホルモンのもとになる「トリプトファン」、倦怠感や疲労をケアする「ビタミンB1」です。
GABA
GABAはアミノ酸の一種であり、神経の高ぶりを抑えてストレスを軽減させる効果が見込める成分です。
ヒトの脳は、興奮すると「ノルアドレナリン」と呼ばれるホルモンを活発に分泌します。GABAには、ノルアドレナリンの過剰分泌を抑えて心身をリラックスさせるはたらきがあるとされ、ストレス過多の現代においては積極的に摂取したい成分。「緊張しやすく寝つきが良くない」「イライラしやすい」という方は、GABAを積極的に摂るのがおすすめです。間接的ではありますが、ストレスからくる歯ぎしりの防止にも役立つでしょう。GABAは、以下の食材に多く含まれています。日々の献立に取り入れてみましょう。
- 穀類:発芽玄米/大豆
- 発酵食品:漬物/キムチ/ヨーグルト
- 野菜類:パプリカ/トマト/ケール/
- 果物類:バナナ/ブドウ/メロン
より手軽さを重視したいのであれば、GABAを含有したお菓子やドリンク、サプリメントから摂るのもおすすめです。
トリプトファン
トリプトファンとは、牛乳から発見された必須アミノ酸(ヒトの体内で作れないアミノ酸)の一種です。不安感を解消しストレスを緩和するホルモン、「セロトニン」の材料となります。セロトニンは「幸せホルモン」と呼ばれるホルモンであり、夜になると「メラトニン」というホルモンへ変化するとされています。メラトニンには自然な眠気を促し、「日中は活動して夜は就寝する」という体内時計のリズムを整えてくれるはたらきがあります。そのため、トリプトファンを積極的に摂取することで「不安感が解消され精神が安定する」「寝つきを良くできる」といった効果が期待できます。不安感が解消されたり、寝つきが良くなったり心身の疲れをケアできれば根本的なストレスが軽減され、歯ぎしりの防止につながるでしょう。
トリプトファンは体内で生成できず、食事やサプリメントから摂取しなくてはなりません。トリプトファンは、以下のような食材に多く含まれています。「朝食には牛乳やヨーグルトなどの乳製品を多く摂る」「副菜にほうれん草やアボカドなどの野菜を取り入れる」など、ちょっとした工夫をして取り入れてみてください。
- 乳製品:牛乳/チーズ/ヨーグルト
- 魚類:カツオ/マグロ/サケ/サバ
- 野菜類:ほうれん草/アボカド
- 果物類:バナナ
ビタミンB1
ビタミンB1は水溶性ビタミンの一種です。糖質の代謝を促し、エネルギーへ変換します。くわえて、皮膚や粘膜の健康を維持し、口内炎や肌荒れなどのトラブルを防止するはたらきも担っています。筋肉や神経のはたらきをサポートし、疲労感や倦怠感、眼精疲労などをケアするのもビタミンB1の役割です。白米や甘いものを食べすぎてしまう方・肌荒れや口内炎が気になる方・疲労感を覚えやすい方に、特におすすめの栄養素だといえるでしょう。
ビタミンB1が豊富な食材は、以下の通りです。
- 肉類:豚ヒレ肉/豚モモ肉
- 野菜類:ほうれん草/カリフラワー
- 魚類:ウナギ
- 穀類:ゴマ/大豆/玄米/発芽米/ライ麦
- ナッツ類:落花生/アーモンド/カシューナッツ/クルミ
なお、ビタミンB1は全8種類から成る「ビタミンB群」のひとつ。ビタミンB群は、お互いが協力することでより高い効果を発揮する栄養素です。そのため、ビタミンB1を摂取する際は「皮膚や粘膜を保護するはたらきを持つビタミンB2」「血液の材料となる赤血球をつくる助けになるビタミンB12」など、他のビタミンBも一緒に摂ると良いでしょう。
運動でストレスをケアする
適度な運動は、心身の緊張をほぐす・気分転換をするといった効果が見込めます。同時に、身体に心地良い疲労感を与えられるため、睡眠の質を高めてくれ、心身の緊張をほぐしたり、睡眠の質を高めたりすることで、ストレスからくる歯ぎしりにアプローチできます。簡単に取り組める運動の一例として、ウォーキングのメリットや方法をご紹介します。
ウォーキングの実践方法とメリット
ウォーキングは、自身の身体ひとつで実践できる運動です。激しい動きを伴わないため、体力に自信がない方や運動習慣がない方でも挑戦しやすいといえるでしょう。ウォーキングを行ううえで重要なのは、正しいフォームを意識することです。
- 歩くときは足をしっかり伸ばし、かかとから着地するように意識する
- 目線はやや遠くに置く
- できる限り頭を動かさないようにする
- 肩の力を抜いて腕を大きく振る
こうしたフォームを意識して、ウォーキングを実践してみましょう。また、ウォーキングは就寝の3時間ほど前に行うのがおすすめ。
快眠のためには、運動によって「深部体温」を上げておくことが重要であるためです。
深部体温とは、内臓や脳などの身体の内部の温度のこと。深部体温が下がることで、ヒトの身体は休息モードへと移ります。深部体温の下がり幅が大きければ大きいほど眠りが深くなるため、「就寝の数時間前に深部体温を一時的に上げ、下がり幅を大きくする」という工夫をしてみましょう。
就寝の3時間ほど前にウォーキングをはじめとした軽い運動をすることで、深部体温の上昇→下降という流れをつくり、より深い眠りを得られます。なお、就寝直前に運動すると心身が興奮してしまい、逆に寝つきが悪くなってしまいます。
快眠のための寝具の選び方
快眠によってストレスを解消するためには、食事や運動などの生活習慣を見直すだけでなく、寝具にこだわることも大切です。特に、マットレスや枕は身体を預ける大切な寝具。自身に合ったマットレス・枕を選ぶことで就寝中の身体の負担が軽減され、睡眠の質向上にもつながります。睡眠の質を高められれば、心身のストレスをケアできひいてはストレス由来の歯ぎしりも改善できるでしょう。以下では、寝具のなかからマットレスと枕にフォーカスして、それぞれの選び方を解説いたします。
マットレスの選び方
マットレスを選ぶ際は、「寝返りのしやすさ」に着目しましょう。健康な大人は、一晩に20回前後の寝返りを打つとされます。寝返りが極端に少ないと、「身体の同じ部分に負担がかかり、痛みやこりにつながる」「寝具のなかの空気が入れ替わらず不快感を覚える」などの寝苦しさが起こりやすくなります。寝返りが打ちにくい寝具だと、質の高い睡眠は得られません。
やや硬めで程良い反発力のあるマットレスであれば、身体が沈み込みすぎず寝返りを打ちやすくなります。ただし、マットレスの丁度良い硬さ・柔らかさは人によって異なります。マットレス選びで迷ったときは、自身の体重・体格を基準に考えましょう。
たとえば、体重が40~55キロ前後の小柄な方・細身体型の方は、身体が沈みこみにくいのでやや柔らかめのマットレスがおすすめです。体重55~70キロ前後の標準体型の方は、普通~やや硬めのマットレスが向いています。体重70キロ以上で体格がしっかりとした方は、全身を安定して支えられる適度な反発力のある硬めのマットレスが良いでしょう。
Active Sleep BEDは、自動運転機能を搭載した電動ベッドです。自分の寝やすい姿勢に合わせて背もたれの角度を調節できる特徴があります。上半身を少し起こして呼吸をしやすくする「呼吸ポジション」をはじめ、様々な角度に調整が可能です。「寝具の観点から睡眠の質を見直したい」とお考えの方は、Active Sleep BEDをご検討ください。
枕の選び方
枕を選ぶ際は、高さに注目しましょう。必要な高さは寝姿勢によって異なります。たとえば仰向けで寝ることが多い方は枕を使ったとき、視線が真上よりも斜め下を向いていれば丁度良い高さだといえます。逆に、視線が斜め後ろに反っているという場合は低すぎる、脚全体が見えるほど頭頂部が持ち上がっているならなら高すぎるかもしれません。横向きで寝ることが多い方は、身体が真っ直ぐになるように少し高めの枕が良いでしょう。
よく寝る姿勢にあった枕を実際に試してみて選ぶようにしましょう。
歯ぎしりを放置することで起こる悪影響
歯ぎしりを放置することで、どのようなリスクがあるのでしょうか。歯ぎしりが及ぼす悪影響は、歯そのものだけでなく頭や顎、肩にまで及びます。くわえて、歯並びに影響し審美的・機能的にも好ましくない状態になってしまいます。
歯が摩耗する
強い力で歯と歯をこすり合わせることで、歯が少しずつ摩耗していきます。その結果、上下の高さが合わなくなり嚙み合わせが悪化することもありうるでしょう。嚙み合わせが悪くなると、さらに歯ぎしりしてしまうという悪循環にも陥ります。また、歯の表面のエナメル質が摩耗すれば、歯の神経が刺激を受けやすくなって知覚過敏として痛みが出ることもあるでしょう。
歯並びが悪くなる
歯ぎしりすると歯に強い力がかかり、正しい位置から移動してしまいます。特に睡眠時の歯ぎしりには、数十キロ~100キログラムほどの力が歯にかかっていると考えられます。これは矯正治療で歯を動かす際の力と大きく変わらない力です。歯並びが悪くなると見た目が気になるだけでなく、「食べ物を上手く咀嚼できない」「歯磨きがしにくくなり虫歯が増える」など健康面にも悪影響が及びます。また、人によっては歯が移動してしまうだけでなく、歯茎や歯の根を支えている骨である「歯槽骨」に痛みが出ることもあるでしょう。
頭痛・肩こり・顎の痛みにつながる
歯を強く食いしばると、顎を動かす筋肉である「側頭筋」や食べ物を咀嚼する際に使う筋肉「咬筋」が緊張します。これにより、頭が締め付けられるような「緊張型頭痛」や顎の痛みが発生します。また、側頭筋や咬筋の緊張は頭・顎だけでなく首・肩にも伝わり、慢性的な肩こりや首のこり、倦怠感も引き起こします。
歯ぎしりとストレスの関係性を知ってケアにつなげよう
歯ぎしりとストレスは密接に関係しています。ストレスをケアすることで、歯ぎしりの予防・改善にも役立てられるでしょう。心身を休ませ、ストレスへの抵抗力を蓄えるためには質の良い睡眠が大切です。
Active Sleep BEDは、自分にとって心地良い角度をつけて眠れる電動ベッドです。その日の体調や気分に合わせて角度をつけて就寝でき、寝つきをサポートしてくれます。Active Sleep ANALYZERと併せてお使いいただくと、眠りについたら、自動運転によって少しずつフラットな状態へ戻り寝返りを打ちやすくしてくれます。また、起床時間になると、自動運転機能によってベッドの背もたれが動き、起床を促してくれる機能もあります。Active Sleep BEDと一緒に睡眠環境を見直してみませんか。詳細は以下ページよりご確認ください。