当社社員の健康診断データと睡眠データの関連性とは


睡眠に関する研究部門であるパラマウントベッド睡眠研究所が、パラマウントベッド株式会社社員(以下、当社社員)の血圧やBMIといった健康診断の検査項目の値と睡眠データの関連性について調査を実施いたしました。今回その概要と結果についてご紹介します。
実施概要
今回の調査では、Active Sleep ANALYZER(睡眠計測センサー)を使用し、当社社員の睡眠データと健康診断の検査項目の値の関連性を分析しました。
実施の目的と背景
過去の大規模調査により、睡眠時間と血圧・BMIの間に関連性があることが示唆されています※1。本調査では、調査票を使った調査に代わり、Active Sleep ANALYZERの睡眠データによって、より客観的な関連性の把握を目指しました。睡眠データの中で睡眠時間や寝つき時間などの睡眠指標と血圧・BMIとの関係を検証しました。
調査対象と方法
調査対象は、同意を得た19名の当社社員(男性13名、女性6名、平均年齢40.3歳)です。2021年度に実施された健康診断前の24週間にActive Sleep ANALYZERで記録された睡眠データと健康診断の検査項目の値との相関を分析しました。なお、24週間(168日間)のうち平均135日間の睡眠データが収集されています。
研究結果について
1. 睡眠時間と血圧の関係
短時間睡眠の社員ほど、最低血圧が高くなる傾向がありました。睡眠時間が8時間未満の人々では、特にその関連が顕著にみられ、有意な負の相関が確認されています。
2. 寝つき時間と最高血圧
最高血圧が高い社員は寝つき時間が短い傾向にありました。これは睡眠不足が原因で、睡眠負債※2が溜まっていために寝つき時間が短くなっている可能性を示唆します。
3. 日中の過ごし方とBMIの関係
日中の活動が低い人ほどBMIが低いことが分かり、日中の活動とBMIの間に有意な正の相関が認められました。一般的には、寝不足な人ほどBMIが高いと考えられていますが、日中の活動の点数が低い人は日中に仮眠をしていると考えられるため、睡眠不足が解消してBMIが低くなるという関連性がみられたと考えられます。

4. 連続年度の睡眠時間の変化と最高血圧値の変化の関係
上記の解析を実施した19名のうちで、2020年度または2022年度の健診および睡眠データがある12名を対象に、連続年度の同一項目の値の変化の相関を調査しました(男性:9名、女性:3名、平均年齢40.2歳、2020-2021年:11名、2021-2022年:1名)。年度をまたいで睡眠時間が短くなった人は、最高血圧値が有意に上昇していることが分かりました。
まとめ
本調査によって、少数のサンプルながらも睡眠時間と血圧との間に関連性があることが示唆されました。 今後の課題として、より多様なサンプルの収集および睡眠の質の改善が健康に与える影響についてさらに検討が必要です。
※1参照:高血圧と睡眠時間の関係
Environmental health and preventive medicine. 2013 May;18(3);215-20.
睡眠時間とBMI PLoS Med. 2004 Dec;1(3):e62.
※2睡眠負債・・・一時的ではなく、数日にわたって睡眠不足が続いている状態
(引用:厚生労働省「良い目覚めは良い眠りから知っているようで知らない睡眠のこと 」より)