IoT家電ってどんな家電?スマート家電との違いとは
IoTという言葉は私たちの生活にも浸透し、最新家電は続々とIoT化しています。「家事を楽にする」という謳い文句のIoT家電に魅力を感じる一方で、買い替えを即決できるほど安い買い物ではありません。機能が多すぎて、使い方もよくわからず、IoT家電を導入するハードルの高さに二の足を踏んでいる方も多いのではないでしょうか。
今回は、IoT家電・スマート家電の利便性やデメリット、IoT家電とスマート家電との違いから 、IoT家電・スマート家電の選び方や実例までご紹介します。IoT家電・スマート家電の導入をご検討中の方は、ぜひ参考にしてください。
IoT家電とは?
IoT(Internet of Things/モノのインターネット)とは、インターネットを通してモノが情報交換や相互制御をすることを指します。
これまで、インターネットといえばパソコンやスマートフォンといった通信機器につなげるものでした。しかし、技術の発展により、これまで通信を前提にしていなかった自動車・バイクなどの乗り物、工場・店舗などの生産機器、冷蔵庫・電子レンジなどの家電、時計・指輪などの装飾品に至るまで、あらゆるモノがインターネットにつながるようになりました。IoT家電とは、その名の通りインターネットに接続されている家庭用電化製品のことです。
IoT家電の例として、気象予報に合わせて運転方法を変えるエアコン や、冷蔵庫と連携してレシピを通知してくれる電子レンジなどがあります。ユーザーの帰宅中にエアコンと照明をONにして、お風呂のお湯をちょうど良い温度で沸かしておくことも、IoT家電であれば実現できます。このように、IoTの発展により、モノに合わせる時代から、モノが人に合わせる時代に突入しているのです。
IoT家電とスマート家電の違い
IoT家電のほかに、「スマート家電」という言葉も聞いたことがあるかもしれません。どちらもモノがインターネットに接続された家電のことであり、厳密に定義されているわけではありませんが、IoT家電のうちスマートフォンと連携できる家電を「スマート家電」と呼んで区別することがあります。アプリを使って家電を管理・操作するためにはインターネット環境が必要であるため、スマート家電はIoT家電の一種といえるでしょう。
IoT家電とスマート家電の違い | |
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IoT家電 | スマート家電 |
インターネットにつながれている家電のこと | スマートフォンやクラウドと連携ができる家電のこと |
スマート家電は、スマートフォンに専用のアプリをインストールすることで、外出先でスマートフォンをリモコン代わりにエアコンを稼働させたり、体重計のデータをアプリに自動記録したりできます。スマート家電の場合、アプリのインストールや初期設定の手間はかかりますが、一度設定してしまえば、できることが増えて一層便利になります。
IoT家電の仕組み
IoT家電は、「デバイス(モノ)」、データの送受信やデバイスへ指示を出す「クラウドサーバ」、デバイスとサーバ(サービス・機能を提供するコンピュータ)の間をつなぐ「ネットワーク」という3つの要素で構成されています。
【デバイス】データを取得・送信・受信する
IoT家電の本体はデバイスと呼ばれており、デバイスには目や耳の役割を果たす「センサー(データを取得・送信する装置)」と、手足の役割を果たす「アクチュエータ(電気信号に応じてアクションを起こす駆動装置)」が搭載されています。
情報収集(センシング)
センサーを使った情報収集(センシング)は、IoT家電にとって重要な役割の1つ。デバイスは、センサーで取得したデータを電気信号に変換して、ネットワークを介してクラウドサーバへ送信する役割を担います。
一言でセンサーといっても、種類は様々です。リモコンによる遠隔操作や室内の人の動きを認識する光電センサー、音声操作を可能にする音感センサー、物体の位置情報を観測するGPSなど、多種多様なセンサーがIoT家電に実装されているのです。
無数のセンサーが搭載されているデバイスとしてイメージしやすいのは、スマートフォンでしょう。スマートフォンで通話・カメラ・地図・ゲームなど色々な機能が使えるのは、あの小さなデバイスに、たくさんのセンサーが搭載されているからです。手のひらに乗るサイズのスマートフォンにこれらの多種多様のセンサーが実装されていることを考えると、センサーがいかに小さいものかわかります。このようなセンサーの小型化が、IoT家電の利便性を高めているのです。
情報の受け取り(フィードバック)
デバイスは、インターネットを通してサーバとつながっており、センシングで得た情報をサーバへ送るほか、サーバから情報を受け取ることもできます。サーバから情報を受け取ることはフィードバックと呼ばれ、センシングと同様にデバイスの重要な役割です。
フィードバックは、主に可視化・通知・デバイスの制御に分けられます。たとえば、体重計・血圧計の測定データをスマートフォンから閲覧できるようにする(可視化)、デバイスの稼働状況や消耗品の減少についてお知らせする(通知)、設定時間に家電の稼働・停止などを行う(デバイスの制御)などが、フィードバックの代表例です。
【クラウドサーバ】データの送受信・デバイスへの指示
デバイスから送信されたデータは、インターネットを通してサーバに送られます。デバイスへ指示を送るためのサーバはインターネット上にあり、クラウドサーバと呼ばれています。クラウドとは、インターネットを通じてサービスを提供する形態のこと。デバイスに多様なセンサーが搭載されたことで、家電の利用状況や環境といった細かいデータを集められるようになりました。
世界中に存在するIoT家電ユーザーの利用状況データを集約すると、膨大なデータになります。このように集められた情報は「ビッグデータ」と呼ばれています。IoT家電から得られるデータは総量が多いうえ、様々なセンサーから収集されているので、データの種類や形式はバラバラ。一般的なデータベースでは、ビッグデータの記録・保管・解析が困難です。
その点、クラウド上にサーバがあれば、データ量や種類に応じてリソース(サーバの容量)を調整できるという拡張性があります。この拡張性はビッグデータとの相性が良く、IoT分野ではクラウドサーバが用いられています。ビッグデータをインターネット経由で分析し、デバイスへフィードバックを行うことでIoT家電は家庭ごとに最適化され、利便性がますます高まります。
【ネットワーク】デバイスをインターネットに接続する
デバイスとクラウドサーバが情報の伝送を行うのに不可欠なのはネットワーク(インターネット)です。IoTにはNB-IoT(Narrow Band-IoT)といった専用の通信規格があります。低速・小容量(ナローバンド)通信で速度は遅いものの、消費電力が低く安価にできるため、生活に根差したIoTに向いています。
家電の場合、自宅のインターネット回線やVPNネットワークなどを使います。必要な通信速度はモノによって異なりますが、IoT家電は低速通信で十分なケースがほとんどです。
IoT家電・スマート家電のメリット
IoT家電・スマート家電には、以下のようなメリットがあります。
- 家事の負担を軽減できる
- 無駄な消費を抑えられる
- 家庭の安全・安心に役立つ
家事の負担を軽減できる
IoT家電は、スマホや音声を使って、家電・設備の状況確認や遠隔操作が可能です。自動で掃除をしたり、エアコンをつけたり、料理を作ったりしてくれるので、うまく使えば日常的な家事の負担を大きく軽減できます 。
消耗品の在庫確認や買い足しの労力も軽減できます。 たとえば、洗剤・柔軟剤を自動投入する洗濯機や食材の在庫管理ができる冷蔵庫があります。こういったIoT家電は、消耗品が少なくなっていることを通知してくれるだけではなく、残量が減ったタイミングで再注文を行うように設定できます。消耗品がなくなる前に買い足してくれるため、在庫確認はもちろん、買い物の手間も省けます。
無駄な消費を抑えられる
IoT家電は、一見すると便利で消費電力が大きい家電のように思われるかもしれませんが、実際はそうではありません。エアコンや冷蔵庫であれば、使用状況やインターネット経由で得た情報を基に、「省エネ運転」を学んでいきます。エアコンは気象予報に合わせて運転方法を変えますし、冷蔵庫は庫内の使用状況に応じて冷やし方を調整するのです。
また、家族に「電気をつけっぱなしにしないで!」、「部屋を使わないならエアコン消して!」とお願いしてもなかなかうまくいかない…という経験のある方もいるかもしれません。自分でもこまめに電気を消すのを忘れてしまうということも珍しくないでしょう。その点もIoT家電に頼れば、人がいなくなった時点で消灯したり、エアコンを切ったりしてくれます。それだけではなく、外出先から遠隔操作をして、消し忘れを防ぐこともできるのです。
このように、IoT家電の機能をフル活用することで、日々の生活で発生するムダな消費を抑えられるというメリットがあります。
家庭の安全・安心に役立つ
IoT家電は、子供や高齢者の見守りやペットの確認にも役立ちます にも役立ちます。たとえば、IoTカメラを使うことで、家族やペットの様子を外出先から確認できます。映像チェックだけではなく、相手と会話もできるので、遠くからでも家族やペットとコミュニケーションを取れるのも安心できるポイントです。自宅にいる家族やペットが熱中症やヒートショックにならないよう、外出先からエアコンをつけることもできます。
さらに、後付けも可能なドアロックである「スマートロック」を使えば、ドアの施錠・開錠の履歴をチェックできます。家族の帰宅状況が把握できるほか、外出先からでも施錠の確認・ロックができるため、自宅のセキュリティ向上にも役立ちます。
IoT家電・スマート家電のデメリット
一方で、IoT家電・スマート家電には、以下のようなデメリットも存在します。
- Wi-Fi環境を整える必要がある
- 外部から不正アクセスされるリスクがある
Wi-Fi環境を整える必要がある
市販のIoT家電は、モノ単体で通信することができません。自宅にWi-Fi環境が整っていなければ、IoTの強みを生かせない普通の家電になってしまいます。また、スマート家電はスマートフォンを使うケースが多いです 。スマートフォンを使い慣れていない方にとってはIoT家電よりも、インターネットに接続しないシンプルな家電のほうが使いやすいと感じるかもしれません。
外部から不正アクセスされるリスクがある
世界中からアクセス可能なインターネットとモノを接続するということは、インターネットを介して外部から接続されるリスクが生まれるということでもあります。IoT家電の普及に伴って懸念されているのは、IoT家電へのサイバー攻撃です。
近年では、監視カメラへのサイバー攻撃が増えています。自宅に設置したカメラが乗っ取られ、自分や家族以外にも見られてしまうといったものです。IoT家電にも様々な用途でカメラを搭載することが増えているので、決して他人事とはいえません。また、家電ではありませんが、医療機関のIoT機器がマルウェア(ウイルスソフト)に感染したという報告や、IoT化した自動車工場がウイルスに感染して操業停止になったという報告もあります。
IoTは現実の”モノ”とつながっているので、サイバー攻撃を受けて誤作動を起こせば、事故につながるリスクも考えられます。
一方で、IoTのセキュリティ対策は日々進化しています。今後、IoT製品は利便性だけではなく、安全な接続環境が構築されているかどうかも商品購入の決め手になってくるでしょう。
IoT家電・スマート家電の選び方
IoT家電・スマート家電には多くの種類があり、どれから手をつけたら良いかわからないと感じる方もいるでしょう。IoTの基本は遠隔操作です。「IoTがどんなものか試してみたい」という方は、スマホや音声による操作に慣れるために、スマートスピーカーを使うところから始めても良いかもしれません。
スマートスピーカーは、話しかけるだけで色々な操作を行ってくれます。料理中にタイマーをお願いしたり、ゴミ出しをリマインドしてもらったり、音楽や動画を流してもらったりして、遠隔操作の便利さを体感してみましょう。
なお、スマートスピーカーには「スマートホームハブ」を搭載しているモデルもあります。これは、スマートスピーカーをIoT家電のハブ(ネットワークの主要地点)にして、話しかけるだけであらゆる家電をコントロールする「リモコン」機能を持たせたスピーカーです。冷蔵庫・洗濯機・掃除機からドア、照明やカーテンに至るまでスマート化したいと考えているのであれば、スマートホームハブが搭載されているモデルを選びましょう。
スマートスピーカーに慣れてきて、ほしい家電の目星がついたら、店舗に行って家電を吟味してみてください。ネット購入のほうが安価なケースもありますが、初めのうちは店舗で購入することをおすすめします。店舗で買うと、家電の不調やトラブルがあっても、保証期間内であれば丁寧に対応してくれることが多いからです。また、セキュリティ対策や仕様について詳しい店員さんから話を聞くこともできますし、購入後もサービスが手厚い店舗で買う方が安心です。
IoT家電・スマート家電の事例
具体的に、どういった機能が搭載されているのでしょうか。こちらでは、IoT家電・スマート家電の事例をご紹介します。
洗濯機
アプリと連携して、洗濯をサポートする洗濯機が登場しています。アプリを使うことで、外出先からでも運転状況の確認、洗剤の種類やコースの設定、予約運転の終了時刻を変更することが可能です。アプリを使って、洗濯が終わったら「衣類が傷む」「脱水が弱い」「洗剤の使用量が多い」などのフィードバックを送ることで、次回からの運転方法を調整する機種もあります。また、洗剤・柔軟剤が減ってきたタイミングで自動で再注文を行い、洗剤・柔軟剤が切れてしまう前に届くよう手配してくれる機種もあります。
冷蔵庫
使用状況をAIで分析し、気温や食材の量に合った冷やし方を覚えたり、外出先から中身を確認できたりする機能が搭載されているIoT冷蔵庫があります。常温に近い食材を入れると冷蔵庫内の温度が上がり、再び冷やすまで冷蔵庫がフル稼働してしまうことを防ぐための機能です。このように、IoT冷蔵庫は、冷蔵庫の使用状況に合わせて、柔軟に運転方法を変えながら省エネ運転をしてくれます。
ロボット掃除機
声掛けをするだけで掃除を始めたり、外出先でも掃除をするよう指示が出せたりする便利な家電です。掃除をしながらリアルタイムで障害物を認識できる機能が搭載されています。床に落ちている充電ケーブルや靴下などはもちろん、ペットのフンまで認識できるような機種も登場しています。靴下であればギリギリまで近づいて掃除をしますが、ペットのフンをみつけると余裕を持って避けるのです。「人間が床のモノをどかさないと掃除をしてくれない」「ペットのフンを避けられず、フローリング中にフンを塗りたくってしまう」というのはロボット掃除機に共通する課題でしたが、それらの課題を解決しつつあります。
掃除中に遭遇した障害物の画像をスマートフォンに送付して、今後の対処方法を設定することができるモデルも出てきました。このようなフィードバックを世界中のユーザーから集めているため、障害物の認識精度はさらに高まっていくでしょう。
ベッド
パラマウントベッドの「Active Sleep BED」は、スマートフォンアプリと連携して快適な入眠と目覚めをサポートします。
就寝時は、自分にとって呼吸を楽にして寝つきやすい角度にベッドの背を調整できます。入眠したことを確認すると、起こさないようにゆっくりとフラットポジションに戻るので、寝返りもうちやすくなります。設定した起床時間が近づくと、ベッドの背がゆっくりと上がり目覚めを促す機能も搭載。しっかり寝て、すっきりした目覚めをサポートします。
寝具選びではマットレスが重要といわれますが、Active Sleep BEDはマットレスの硬さを6部位で10段階調節できるので、自分に合う硬さを探すことが出来ます。また、専用のアプリと連携することで、心拍数・呼吸数・体動を見える化するほか、一週間の睡眠バランスをチェックすることが出来るので健康管理にも繋がります。
Active Sleep BEDに関する詳細は、以下のページでご紹介しております。ご興味のある方は、ぜひチェックしてみてください。
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