メラトニンとは?睡眠ホルモンの特性と注意点
メラトニンというホルモンについて聞いたことはありますか。メラトニンは様々な作用を持ちますが、「睡眠ホルモン」という別名があり、睡眠と深く関わっているホルモンでもあります。今回は、メラトニンの特徴や作用に加えて、リスクや副作用、日本でメラトニンサプリが発売されない理由についても解説します。睡眠改善に興味がある方も、ぜひ参考にしてください。
メラトニンとは?睡眠との関係は?
メラトニンは、脳の松果体(しょうかたい)から分泌される神経ホルモンの一種です。多くの生物において生体リズム調節に重要な役割を果たしており、鳥の渡り、冬眠、季節性繁殖などもメラトニンが関係していると考えられています。
メラトニンは、睡眠・覚醒リズムにも影響を与えていることから、「睡眠ホルモン」とも呼ばれます。
メラトニンの分泌は、主に「光」によってコントロールされています。
強い光を浴びるとメラトニンの分泌が抑えられ、血中メラトニン濃度が低くなることで覚醒します。時間経過によって再びメラトニンが分泌され血中濃度が高くなっていくと、覚醒状態から徐々に眠気を感じるようになる、というメカニズムです。
そのため、メラトニンが分泌される夜に明るい光を浴びると、メラトニンの分泌が抑制されて覚醒状態に入ってしまいます。
「就寝前にスマートフォンやタブレットを見ないほうが良い」というのは、ブルーライトの光がメラトニンの分泌を抑制し、眠気を感じにくくさせてしまうからです。
また、メラトニンは加齢によって減少していきます。高齢になると中途覚醒や早期覚醒といった不眠の症状が見られることがありますが、これは年齢を重ねるにつれてメラトニンが減少していくためだと考えられています。 世代・性別による眠りの差については、データで紐解く、中高年世代での眠りの違い 。50代が男性と女性の眠りの分かれ目?!で詳しく紹介しています。メラトニンの役割は体調管理をサポートすること
メラトニンが持つ役割や効果としては、以下のようなものが挙げられます。
体内時計を整える
メラトニンはその特徴から、体内時計を整える効果があります。
強い光を浴びるとメラトニンの分泌がストップし、14~16時間くらいすると徐々にメラトニンの分泌量が増えていきます。メラトニンの濃度の差が、覚醒と眠気のリズムを作っているのです。
入眠を助ける
メラトニンには、眠りに入る時間を短くする作用や、深い眠りを促す作用があります。そのため、光の調節によって、メラトニンの分泌をコントロールすることで、睡眠の質の改善に有効といえます。
メラトニンの分泌量を調整する3つの方法とは
夜間にメラトニンの分泌を促し、入眠しやすくするために、日常生活で意識的に以下のことを取り入れてみましょう。
- 朝にたっぷりと光を浴びる
- 夜間は光を避ける
- メラトニンのもとになる食事を摂る
詳しく解説していきます。
朝にたっぷりと光を浴びる
メラトニンを調整するうえでもっとも大切なのは、朝にたっぷりと光を浴びることです。
先述の通り、メラトニンの分泌は光を浴びると抑えられ、時間が経つと再び分泌される性質があります。そのため、朝に光を浴びることでメラトニンの分泌が抑制され、体内時計がリセットされるのです。
具体的には、2,500ルクス以上の光を浴びると、体内時計をリセットできるといわれています。
太陽光は5万~10万ルクス、曇りの日でも1万ルクスはあるので、外に出られなくても、カーテンを開けて窓辺で光に当たるだけで十分といえるでしょう。
また、自然光でなければ効果がないというわけではありません。太陽光を浴びるのが難しい場合は、蛍光灯やLEDなどの人工的な光を浴びても、朝にメラトニンの分泌を抑えられます。
自然光でも人工光でも良いので、朝には明るい光に当たる環境を作って、体内時計をリセットすることが大切です。
夜間は光を避ける
夜間も日中と同じように光を浴びてしまうとメラトニンの分泌量が抑制されてしまい、なかなか寝付けなくなります。そのため、就寝前に強い光を浴びるのは避けるようにしましょう。500ルクス以上の光を浴びるとメラトニンの分泌が抑えられてしまうといわれています。500ルクス以上の明かりとは、勉強や読書のときに適切な明るさです。
夜間の照明は150ルクス未満が望ましいので、「食事をするには少し暗い」と感じる程度まで照明を絞り、薄暗い部屋で過ごすのが良いでしょう。
また、スマートフォンやタブレットの画面から発せられるブルーライトは、メラトニンの分泌を抑制する力が強い光です。ブルーライトを長時間浴びると、正常なメラトニン分泌の妨げになるので、寝る前にデジタルデバイスを触るのは控えましょう。就寝前には薄暗い環境で過ごし、朝にはたっぷりと光を浴びる。このように昼夜でメリハリをつけることで、睡眠のリズムが整います。
「朝にたっぷりと光を浴びる」「夜間は光を避ける」といった生体リズムを整える重要性については、生体リズムを整えて、自分の眠りを、体調を改善する。で解説しています。
メラトニンのもとになる食事を摂る
メラトニンの原料になるのは、「トリプトファン」というアミノ酸です。しかし、必須アミノ酸のため人間の体内では生成できません。光をコントロールすることだけではなく、メラトニンの材料となる栄養を積極的に摂ることも大切です。
トリプトファンは、乳製品・豆製品・魚介類・肉類・ナッツ類などのたんぱく質に多く含まれています。またトリプトファンだけではなく、ビタミンB6やマグネシウムといったメラトニン生成の助けになる成分と一緒に摂るとなお良いでしょう。
豚肉・サケ・豆腐などからはビタミンB6が摂れますし、魚介類や海藻類にはマグネシウムが豊富に含まれています。
ビタミンB6は煮汁と一緒に流れてしまうので、煮汁を捨てずに食べられる料理が良いでしょう。豚汁、サケの雑炊、豆腐をたっぷり入れたお鍋など、汁物にすると飽きずにおいしくいただけます。
ちなみにトリプトファンが含まれるたんぱく質は、筋肉の発達・回復に必要なホルモンの材料にもなるので、日中の疲労感の解消にもつながります。【注意】メラトニンを食事以外で摂取するときに気をつけたいこと
食品からメラトニンの材料を摂るのではなく、サプリメントとしてメラトニンを経口摂取する方法もあります。
日本では医療従事者から処方してもらわなければ手に入りませんが、インターネットで輸入が可能です。
もしメラトニンのサプリメントを手に入れたいと考えているのであれば、下記のようなリスクを必ず考慮したうえで経口摂取するかどうか判断してください。
- 副作用がある
- 長期摂取の安全性は不明
- 妊娠中・授乳中には避ける
- 併用禁忌や注意事項がある
副作用がある
メラトニンをサプリで経口摂取した後の副作用は、頭痛、めまい、吐き気、眠気などが挙げられます。他にも処方箋がなければ手に入らないロゼレムやメラトベルといったメラトニン受容体作動薬にも、眠気や頭痛といった副作用が確認されています。
睡眠導入剤として使われることから、日中の眠気を引き起こす可能性も否定できません。メラトニン受容体作動薬やメラトニンのサプリメントを服用してから5時間以内には、運転をしないようにしましょう。
またメラトニンを経口摂取することで、一過性の抑うつ症状、不安、イライラ感が起こることもあります。メラトニンがうつ病を悪化させる可能性も示唆されています。
長期摂取の安全性は不明
適量のメラトニンを短期間だけ使用することは、健康的に問題ないとされています。一方で、メラトニンの長期使用に関する安全性についてはデータが不十分です。
フランス食品環境労働衛生安全庁(ANSES)は、メラトニンの長期摂取の安全性についてのデータが不十分であることから、メラトニンを含むサプリメントは一時的な摂取に留めたほうが良いという見解を示しています。
※出典: フランス食品環境労働衛生安全庁(ANSES)妊娠中・授乳中には避ける
妊婦・授乳中の女性はメラトニンを含むサプリメントの摂取は推奨されていません。
また、授乳中のメラトニンの安全性も確立されていない状態です。妊娠の可能性がある、妊娠中、授乳中の方は、主治医の指示がない限りメラトニンのサプリメントは摂らないようにしましょう。
併用禁忌や注意事項がある
メラトニンのサプリメントは、併用をしてはいけない薬や注意するべき成分があります。
たとえば、メラトニンは抗うつ剤のフルボキサミンとの併用は禁忌です。メラトニンは血液凝固を抑えるため、ワルファリンやアスピリンといった血液凝固抑制薬との併用も避けましょう。
また、抗うつ剤や鎮静薬と併用すると、過度の眠気を引き起こすおそれがあり危険です。
さらに、自己免疫疾患やリンパ球の腫瘍がある場合には、メラトニンの摂取によって症状が悪化する可能性があります。
疾患のある方や薬を服用している方は、自己判断でメラトニンを経口摂取するのは危険が伴うため、主治医や薬剤師に助言を仰いでください。
なぜ日本ではメラトニンのサプリメントが販売されないの?
欧米では、ドラッグストアでも手に入るメラトニンのサプリメントですが、日本では一般に販売されておらず、医療従事者の管理下で使用するべき成分として扱われています。
その理由は、日本と外国で医薬品の分類が異なるためです。日本におけるメラトニン関連の薬はホルモン系サプリとして扱われます。
日本はホルモン系サプリを市販で販売するのは禁止されているため、市販化されることは現状まずありません。
一部のクリニック・病院では処方してくれる場合もありますが、保険が使えないため、やや高値で購入することになります。
どうしても欲しい方は、医師に相談したうえで、海外から輸入する必要があります。
良い入眠は睡眠環境の改善から
メラトニンのサプリメントは並行輸入で入手可能ですが、よほどの事情がない限り、自己判断でメラトニンサプリを摂取することはおすすめできません。
寝つきの悪さに悩んでいるのなら、メラトニンのサプリメントを試す前に、「朝に光をたっぷり浴びる」「夜にデジタルデバイスを使わない」「窓に遮光カーテンをつける」など、自然にメラトニンが分泌される方法から試してみてはいかがでしょうか。
寝室の環境から睡眠を見直す際には、寝具の見直しもおすすめです。Active Sleep公式サイトでは、快眠をサポートする電動ベッド「Active Sleep BED」から寝る時の向きに合わせた「PILLOW by Active Sleep」、日本製の羽毛掛布団「DOWN COMFORTER by Active Sleep」など、より良い睡眠環境を整える商品をご提供しています。
中でも、Active Sleep BEDは、背もたれや膝をリクライニングし、心地良い寝つきをサポートします。起床時には背もたれが起き上がり、自然な目覚めを促します。さらに、スマートフォンアプリと連携することで、心拍数・呼吸数・体動を見える化する他、一週間の睡眠バランスをチェックすることが出来るので健康管理にもつながります。
Active Sleep BEDに関する詳細は、以下のページでも紹介しております。
Active Sleep LABとは
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